マンガの「鉄道模型入門」
私もついこの間、高志国太郎さんのブログを拝見するまで存在を知らなかったのですが、ケイブンシャの大百科に関連した「入門まんがシリーズ」の一冊で「鉄道模型入門」というのが出ていました。
私の知っている「マンガの鉄道模型入門書」は50年以上前に出ていたあさのりじ監修の「模型工作教室」だけだったのですが、Nゲージの普及期に当たる1980年代にこうした「マンガ入門書」が出ていてもおかしくなかった訳で少々不覚でした(まあ、別に入門書コレクターでもなかったですが)
著者はケイブンシャの「Nゲージ大百科」も出されている江頭剛氏(えがしら剛名義)
まさに当時この種の入門書の著者には最適任だったでしょう。
というわけで存在を知って以来どこかで読むことができないかとあちこち当たってみたのですがようやく最近になって古本の出物を意外にリーズナブルな値段で入手できました(奥の平均落札額の半額以下だったのは有り難いです)
活字の入門書や一般向けのホビー本なんかで散見される事ですが、殊テツドウモケイの場合、水野良太郎氏クラスのマニアを除くと著者の知識が中途半端で明らかな事実誤認や間違いが見られる事が多く失笑を感じることが多い物です。
(逆にマニア系の著者だと自分の知識、技術レベルを基準に話が進みやすくビギナーが恐れを成すケースも多いのですが)
その点、本書はマンガというわかりやすい媒体を使っていると言うだけでなく著者の博識と経験がその中にきちんと反映されており、終始安心して読める内容になっています。
ビギナーのNゲージャーだったらレイアウトよりもまず車両の増備や工作(軽加工で差をつける)事に関心が向きがちですが、本書の記事の7割がたが車両の手入れと軽加工に割かれておりビギナーのニーズをきちんと捉えています。
また、本文で書ききれないところは「ハシラの一言」で補足されておりこれだけでも「豆知識百科」くらいのボリュームがあるのも好感を持てます。
(本編のマンガの中で豆知識をひけらかす構成だと、そこだけに目が行ってしまいしばしばマンガの流れが冗長になってしまう)
その一例を引用させていただくなら
「専門用語のほかに漢字の勉強もしてください。説明書にはフリガナなんてないのですよ!」
「カトーの103系はこのように分解しますが、Nゲージすべての車両が、こんなにうまくはいきません。研究!研究!」
なんかは入門書としては今でも目から鱗ものだと思います。
惜しいのはメインがNのキットメイクや車両工作なのでレイアウトがややおざなりなのとHO系の記事が絶無に等しいことですが、これは限られたボリュームであれもこれもというわけに行かない入門マンガの限界でもあります。
(でもレイアウトやHO、Zなんかも俯瞰した補巻でもあればよかったのにとか思わずにはいられません)
個人的には本書はこれまで読んできた入門書の中でもかなり出来がよく、改訂版を重ねていれば今でも十分通用する名著だと思いました。
漫画としての欠点はこの種の本にはどうしても出てきてしまう絵柄の古さと色気の薄さ(爆笑)かな?
余談ですが、本書の裏表紙のイラスト
ご覧の通り「電気釜の擬人化」ですが
本書から15年後に出た「TOMIXのすべて」(ネコパブリッシング)に江頭氏が寄稿した漫画の冒頭に
(ネコパブリッシング刊「TOMIXのすべて」114Pより画像引用)
こういうのを見つけました。事によるとその後15年間の時代の変化を意識した、江頭氏自身によるセルフパロディの一種だったのかもしれません。
光山鉄道管理局
HPです。
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私の知っている「マンガの鉄道模型入門書」は50年以上前に出ていたあさのりじ監修の「模型工作教室」だけだったのですが、Nゲージの普及期に当たる1980年代にこうした「マンガ入門書」が出ていてもおかしくなかった訳で少々不覚でした(まあ、別に入門書コレクターでもなかったですが)
著者はケイブンシャの「Nゲージ大百科」も出されている江頭剛氏(えがしら剛名義)
まさに当時この種の入門書の著者には最適任だったでしょう。
というわけで存在を知って以来どこかで読むことができないかとあちこち当たってみたのですがようやく最近になって古本の出物を意外にリーズナブルな値段で入手できました(奥の平均落札額の半額以下だったのは有り難いです)
活字の入門書や一般向けのホビー本なんかで散見される事ですが、殊テツドウモケイの場合、水野良太郎氏クラスのマニアを除くと著者の知識が中途半端で明らかな事実誤認や間違いが見られる事が多く失笑を感じることが多い物です。
(逆にマニア系の著者だと自分の知識、技術レベルを基準に話が進みやすくビギナーが恐れを成すケースも多いのですが)
その点、本書はマンガというわかりやすい媒体を使っていると言うだけでなく著者の博識と経験がその中にきちんと反映されており、終始安心して読める内容になっています。
ビギナーのNゲージャーだったらレイアウトよりもまず車両の増備や工作(軽加工で差をつける)事に関心が向きがちですが、本書の記事の7割がたが車両の手入れと軽加工に割かれておりビギナーのニーズをきちんと捉えています。
また、本文で書ききれないところは「ハシラの一言」で補足されておりこれだけでも「豆知識百科」くらいのボリュームがあるのも好感を持てます。
(本編のマンガの中で豆知識をひけらかす構成だと、そこだけに目が行ってしまいしばしばマンガの流れが冗長になってしまう)
その一例を引用させていただくなら
「専門用語のほかに漢字の勉強もしてください。説明書にはフリガナなんてないのですよ!」
「カトーの103系はこのように分解しますが、Nゲージすべての車両が、こんなにうまくはいきません。研究!研究!」
なんかは入門書としては今でも目から鱗ものだと思います。
惜しいのはメインがNのキットメイクや車両工作なのでレイアウトがややおざなりなのとHO系の記事が絶無に等しいことですが、これは限られたボリュームであれもこれもというわけに行かない入門マンガの限界でもあります。
(でもレイアウトやHO、Zなんかも俯瞰した補巻でもあればよかったのにとか思わずにはいられません)
個人的には本書はこれまで読んできた入門書の中でもかなり出来がよく、改訂版を重ねていれば今でも十分通用する名著だと思いました。
漫画としての欠点はこの種の本にはどうしても出てきてしまう絵柄の古さと色気の薄さ(爆笑)かな?
余談ですが、本書の裏表紙のイラスト
ご覧の通り「電気釜の擬人化」ですが
本書から15年後に出た「TOMIXのすべて」(ネコパブリッシング)に江頭氏が寄稿した漫画の冒頭に
(ネコパブリッシング刊「TOMIXのすべて」114Pより画像引用)
こういうのを見つけました。事によるとその後15年間の時代の変化を意識した、江頭氏自身によるセルフパロディの一種だったのかもしれません。
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この記事へのコメント
オチの485の嘆きにクルものがありますねぇ…。ブイブイ言わせた存在でも年月が経てば……。おや?
・新幹線といえばワシだった@0系
・東武といえばワシだった@8000系
・名鉄といえばワシだった@7000系
ケイブンシャの大百科をはじめ、NHKブックスのホビーテクニックなど1980年代はビギナー(年少者がメインでしたが)向けの鉄道模型本が意外に多い時代でしたね。
どの本も「おおらかな事はおおらかなのですがそれでいて重要な基本は外していない」という入門書にとっては大切な要素をしっかりと持っているので今読み返しても読みごたえがあります。