「アニメと鉄道ビジネス ~キャラクターが地域と鉄道を進化させる~」
先日入手した新刊本から
ここ10年くらいの間に鉄道のジャンルではアニメ系のラッピング車やコラボ企画が随分と増えました。
わたしの所属するクラブでも「ラブライブ!」などのラッピング車両が運転会を行き交い「ガールズ&パンツァー」をモチーフにしたモジュールが製作されるなどしていますし、グランシップなどのイベントでも自作、製品モデルを問わずその種のネタのラッピング車が続々登場、運転会を伴う駅イベントでも「シンカリオン」のコーナーがレイアウトの隣に展開されるなど、ブームを越えたムーブメントになっている観があります(笑)
人の事を言えないのはわたしも同じで、このところアニメネタのラッピング車が入線する事が増え、殊に年越し運転などの個人イベント(爆笑)などで華やかさで彩ってくれています。
いや、とにかく実車でも、アイテムでもアニメネタが花盛りといって良いでしょう。
ですが、一方でそれらの車両が実物誌や模型誌なんかでメインに取り上げられる事は少なく、これらのムーブメントが鉄道そのものの中でどういう位置づけとなっているのかを俯瞰する様な資料はごく少なかったように思います。
そんな折、本屋で拾ったのが栗原 景著「アニメと鉄道ビジネス ~キャラクターが地域と鉄道を進化させる~」(交通新聞社)という一冊でした。
本書の裏表紙の慷慨には以下の様な一節があります
「(前略)アニメクリエイターは身近なメカである鉄道に想像力を刺激されて作品を生み出し、鉄道はフィクションであるアニメを現実世界に引き出して多くの人を集める。空想と現実がリンクして、地域も巻き込んで発展するコラボレーション。その起源から今日までの道のりを、様々な事例と当事者へのインタビューを交えながらひもといてゆく」
この見出しにある通り、本書では従来の鉄道ファン的視点からは半ば「イロモノ」として扱われてきたこれらのアニメコラボの車両や企画について、その歴史や現状、そして地域社会に与える効果を俯瞰したものです。
本書で作品や実例として「シンカリオン」「鉄道むすめ」「西武鉄道のアニメ戦略」を3本柱に記述し、それらに絡ませる形で「ガールズ&パンツァー」「けいおん!」「ゲゲゲの鬼太郎」なども交えて地域と鉄道のイメージ戦略や経済効果にそれらがどう貢献しているか、また鉄道とコラボさせるうえでの問題点や課題なども含めて記述されています。
また、アニメのクリエイターの中の鉄道ファンの存在から作品中に鉄道がどうフィードバックされているか(この方向についてはムック形式で何冊か出ている様ですが)にも概略が文章化され、それらが現在のムーブメントに寄与する背景になっている事も書かれています。
これまで上記のムーブメントを目の当たりにしていながら、各車両、或いは各地域と言った「点」でしか認識できないでいたわたし(汗)にとっては、本書の様な俯瞰的な一冊のおかげで、全体像がおぼろげながら把握しかけた様な気分にはなれました。
ただ、わたし個人の感触としては、これまでは「とりあえずアニメとコラボすれば客が呼べる」という発想である程度持ってきた側面もあると思いますが、少なくともこれからは必ずしもそうは行かなくなるのも目に見えてくるとも感じています。
恐らく今この時点でもコラボやラッピングをやって失敗した、或いは期待した効果が得られなかったようなケースも少なからずあったのではないかという気もしています。
コラボの種となるアニメや題材の取捨選択がきちんとなされているか、作品自体の質を含めて地域や事業者側のセンスが問われる場面もあるのではないかと思えるのですが、本書でそれらの失敗例についても触れてくれればもう少し充実した内容になったのではという気もします。
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ここ10年くらいの間に鉄道のジャンルではアニメ系のラッピング車やコラボ企画が随分と増えました。
わたしの所属するクラブでも「ラブライブ!」などのラッピング車両が運転会を行き交い「ガールズ&パンツァー」をモチーフにしたモジュールが製作されるなどしていますし、グランシップなどのイベントでも自作、製品モデルを問わずその種のネタのラッピング車が続々登場、運転会を伴う駅イベントでも「シンカリオン」のコーナーがレイアウトの隣に展開されるなど、ブームを越えたムーブメントになっている観があります(笑)
人の事を言えないのはわたしも同じで、このところアニメネタのラッピング車が入線する事が増え、殊に年越し運転などの個人イベント(爆笑)などで華やかさで彩ってくれています。
いや、とにかく実車でも、アイテムでもアニメネタが花盛りといって良いでしょう。
ですが、一方でそれらの車両が実物誌や模型誌なんかでメインに取り上げられる事は少なく、これらのムーブメントが鉄道そのものの中でどういう位置づけとなっているのかを俯瞰する様な資料はごく少なかったように思います。
そんな折、本屋で拾ったのが栗原 景著「アニメと鉄道ビジネス ~キャラクターが地域と鉄道を進化させる~」(交通新聞社)という一冊でした。
本書の裏表紙の慷慨には以下の様な一節があります
「(前略)アニメクリエイターは身近なメカである鉄道に想像力を刺激されて作品を生み出し、鉄道はフィクションであるアニメを現実世界に引き出して多くの人を集める。空想と現実がリンクして、地域も巻き込んで発展するコラボレーション。その起源から今日までの道のりを、様々な事例と当事者へのインタビューを交えながらひもといてゆく」
この見出しにある通り、本書では従来の鉄道ファン的視点からは半ば「イロモノ」として扱われてきたこれらのアニメコラボの車両や企画について、その歴史や現状、そして地域社会に与える効果を俯瞰したものです。
本書で作品や実例として「シンカリオン」「鉄道むすめ」「西武鉄道のアニメ戦略」を3本柱に記述し、それらに絡ませる形で「ガールズ&パンツァー」「けいおん!」「ゲゲゲの鬼太郎」なども交えて地域と鉄道のイメージ戦略や経済効果にそれらがどう貢献しているか、また鉄道とコラボさせるうえでの問題点や課題なども含めて記述されています。
また、アニメのクリエイターの中の鉄道ファンの存在から作品中に鉄道がどうフィードバックされているか(この方向についてはムック形式で何冊か出ている様ですが)にも概略が文章化され、それらが現在のムーブメントに寄与する背景になっている事も書かれています。
これまで上記のムーブメントを目の当たりにしていながら、各車両、或いは各地域と言った「点」でしか認識できないでいたわたし(汗)にとっては、本書の様な俯瞰的な一冊のおかげで、全体像がおぼろげながら把握しかけた様な気分にはなれました。
ただ、わたし個人の感触としては、これまでは「とりあえずアニメとコラボすれば客が呼べる」という発想である程度持ってきた側面もあると思いますが、少なくともこれからは必ずしもそうは行かなくなるのも目に見えてくるとも感じています。
恐らく今この時点でもコラボやラッピングをやって失敗した、或いは期待した効果が得られなかったようなケースも少なからずあったのではないかという気もしています。
コラボの種となるアニメや題材の取捨選択がきちんとなされているか、作品自体の質を含めて地域や事業者側のセンスが問われる場面もあるのではないかと思えるのですが、本書でそれらの失敗例についても触れてくれればもう少し充実した内容になったのではという気もします。
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