「大人の鉄道模型入門」

 今月入手の鉄道模型本から
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 松本典久著「大人の鉄道模型入門」(天夢人)
 初版が今年の9月ですからこの種の入門書としては最新の一冊という事になります。

 書籍形式の鉄道模型の入門書は店頭で見かけたら、一応手に取る様にしているのですが、最近のはムック形式の大判本が多く「寝っ転がって気楽に読める」形式のものにはなかなかお目に掛かれません。

それを別にしても、ムック形式の入門書は写真が豊富で華やかな印象なものの、パートによって書き手が異なる場合が往々にして見られるせいか、妙に散漫な印象を受ける事があります。
 対して、書籍形式の入門書は個人著作である事が多く、ジャンルの得意・不得意や趣味性が本にも反映しやすい弱みはあるものの、書き手の顔が見えるという点で本としての統一性を感じやすい特徴があります。
 これらは一長一短ですが、書籍形式の本格的な入門書にはここしばらくご無沙汰していたので、本書はかねて期待していた一冊でした。

 本書は最近では珍しいA5のお手頃サイズで読む側からすれば有難い。


 内容は基本的にNゲージのレイアウト、HOの車両工作(真鍮モデル)を中心に基本的な工作テクニックを紹介したものですが、作例が豊富でしかもすべてがカラー写真で描かれているのでわかりやすいと同時に読むだけでもワクワクさせる構成。
 この「ワクワク感」が得られるというのは入門書にとってとても大事な事と思います。

 入門書として目新しいのはレイアウトのほかにいわゆるパイクの作例を複数掲載している事。
 それと、昨今の小径カーブが充実しているレール展開を見据えて奥行き30センチ程度の小レイアウトを作例にしている点が目を惹きます。

 従来、レイアウト造りで一番大きなハードルだったのがスペースの問題でしたから「A3サイズで運転が完結したレイアウトが作れる」事を紹介しているのは「これならやってみようかな」という気にさせる点で大きなアピールではないかと。

 車両工作もアルモデルの小型車両と言う入門者向け真鍮キットを選び、これもビギナー向けの素材を用いて工作の基礎を体得してもらう事に重点を置いている印象です。最近はアルナインの「とて簡」をはじめ、KATOからもナローゲージモデルで真鍮工作キットを出し始めていますから、その意味でも時宜を得た内容ではないかと思います。

 読んでみた印象では、全般の内容も文章と写真のバランスが取れており、ツールや重要事項は太字で描かれている配慮もされています。
 (中学の参考書みたいな構成と言えばわかりやすいかな)

 個々のテクニックについては、基本事項のほかに作者が実践の上で編み出したノウハウも適度に取り入れられていて、私の様なキャリアだけ長くて技量がビギナーに毛の生えたレベルといったファンでも参考になる部分は多いと思います。

 本書ははじめて鉄道模型というものに興味を持った読者(それもある程度の年配者)には比較的とっつきやすい内容で、ビギナーにはお勧めできると思います。
光山鉄道管理局
 HPです。


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