今月の新刊から「ビンテージモデルメンテナンス」

久しぶりに購入した鉄道模型本の新刊から
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イカロス出版の「Nゲージ再生プロジェクト ビンテージモデルメンテナンス」
本書はこれまで隔月刊の「N(エヌ)」で連載されてきた旧モデルのレストア、メンテナンス記事の総集編です。

N(エヌ)での連載当時は「旧モデルのレストアネタが連載されている」というのに大いに驚くとともに「纏まった一冊で読みたい!」(何しろいつから連載が始まったのかわかりませんでしたし、バックナンバーを漁るにも一苦労しそうでしたから)という思いが強かったですから。

今になってようやく一冊分のボリュームが揃ったというのはとても有難い事です。
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先日、手に入れた本書を開いて驚いたのが「トップ記事が関水金属の初代C50の分解整備」だった事。

初代C50と言えば、今では悪いコンディションの物でも奥なんかでは相当な値が付くだけに、分解整備も腰が引けがちになるもの(とはいえ、そんな悩みを持つユーザーはごくごく一部でしょうが)ですが本書ではそのC50を個々のパーツレベルまで完全分解、整備しているのですからびっくりしない訳がない(笑)
しかも大トリを務めるのがなんと「MOREのキ620(プロトタイプにない「自走機能」が付いていた謎の除雪車モデル)」ですよ奥さん!!
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以後、学研の新幹線やらマイクロの185系やらTOMIXの西武レッドアローやら1970~80年代にかけてのヴィンテージモデルが惜しげもなく次々と分解・整備されてゆくのが豊富な写真と共に要領よく示されるのですからですから、レストアファンにはたまりません。
子供の頃読んだ学研の図鑑に「乗り物の図解」という交通機関の解剖図だけを集めた一冊がありましたが、本書はさしずめそれの模型版といったところでしょうか。

分解と共に各モデルについての整備ノウハウにも触れられていますが、わたしのこれまでのレストア体験に照らし合わせてみた範囲では内容も概ね的確と思います。

本書で取り上げられているモデルのいくつかは、かつてわたしもジャンクに近いコンディションで入手し資料(専ら当時のTMSやとれいんなど)を片手におっかなびっくりの腰だめ状態で分解・整備をやらされたものですが、それをやっていて思うのは「こんなアホな作業に血道をあげる馬鹿はわたしくらいのものではないかしら」という疑心暗鬼にも似た自嘲でした。
それがこういう入門書が出ている辺り、今ではこういうのも「テツドウモケイの趣味の1ジャンル」として定着しつつあることを実感します。
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また、その過程を追う中でテツドウモケイの「模型としての進化」のプロセスを追体験する愉しみ」というこれまた新たな魅力に注目させてくれる点でテツドウモケイ本の中でも久しぶりの名著ではないかと思います。
そういう点も勘案すれば、本書はレストアに片足を突っ込んだひねくれファン(あ、わたしも入るかw)のみならずNゲージ歴の長いオールドファンや逆にビギナーながらNゲージの歴史に興味を持った人などにも大いにお勧めできる一冊と思います。

光山鉄道管理局
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この記事へのコメント

秋津のOB
2022年04月29日 18:19
たびたび失礼します。

ちょいとビンテージの使い方が大げさな気がしてしまいましたが、中身はなかなか興味深い一冊でした。意外と中身を分解した構造図的なNゲージ本は見かけないので、切り口としては類例がないものと思います。

この本で掲載されたうち、tomixレッドアロー・青ガエル・DD51旧製品(手持ちはナンバー選択式仕様ゆえ、厳密には一致しませんが)、KATO製EF70三代目・DD13旧仕様、モア製キ620を分解整備しています。手探りで分解や再組み立てを探ったものです。

著者氏にはモーターのブラシ摩耗粉の対処、ピカールで接点各所を磨いた場合のメリットとデメリットを伺いたいものです。
光山市交通局
2022年05月01日 21:04
>秋津のOBさん

 返信が遅くなりました。

 わたし的には「ビンテージ」というネーミングは「その手があったか!」と思いました。旧モデルとか中古モデルとかジャンク品とかこの手のモデルをどう呼ぶかには未だに迷わされますが、本書ではとりあえず「ビンテージ」を名乗ればそれなりに箔がつくのではという考えではないかと思います。

 これまで、模型の愉しみ方としては「作る」「走らせる」「集める」といった面が多かったですが「旧車のレストア」というのがひとつのジャンルとして出てきたのを実感しますね。

 わたしも旧モデルの分解は試行錯誤の連続でしたが、本書の様な手引書が出た事でこのジャンルの広がりは期待できるかもしれません。
ホビぽっぽ
2022年05月02日 21:53
趣味の分野としては骨董品の再生というジャンルがあるのでしょうが、こと鉄道模型においては改良生産のたびに「旧製品」は劣化してゆくという概念がありました。
しかしながらこれだけ歴史を重ねてくると、そうして過去の遺物とされつつも歴史の1ページ、あるいは所有者の履歴のように思い出と重なった魂のような、数値や性能では語れない要素が積み重なってくることがわかります。
自動車や家電など何の技術もそうでしょうが、後年の製品から見ると不完全な機能でもまだ伸びしろが残っていて、開発に努力していた人の一生懸命さが伝わってくるのも魅力に感じます。
光山市交通局
2022年05月02日 23:43
>ホビぽっぽさん

 仰ることには私も賛同します。

 今回の流れは従来の「如何に実物に似せるか」をポリシーに進化してきたテツドウモケイが、ある段階から「模型それ自体が技術的進化の歴史を語れる」ところまでキャリアを重ねてきた事の表れではないかと思います。
(何しろ本書の記事は「実物の知識、蘊蓄」の要素が殆どありませんし)

 昭和40年代頃のTMSのミキストでしたか「実物が好きな鉄道模型ファン」とは別個に「模型そのものに魅力を感じるファン」の存在が示唆されていたのを読んだ記憶があるのですが、現在、旧製品のレストア趣味というかたちでもその流れが見えてきたような感じもあります。