「かわいい鉄道」

 今回もこれまたトレインフェスタの土産物です。先日も紹介した「南田祐介の鉄道ミステリ」と同じ天夢人発行の「女子鉄アナウンサー 久野和美のかわいい鉄道」
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 正直に言いますと、この本に関しては「イベントの雰囲気に当てられて勢いで買った一冊」でした(汗)
 タイトルからして「いい歳したおっさんが手に取って買う様な性質の本」とはなかなか思えない感じではありますし(笑)

 ですから買ったはいいものの、丸2週間くらい本棚の彩りになっていた経緯があります。
 ですが一度手に取ってみたら、これがなかなか楽しい一冊だったのは意外でもあり嬉しかったところでもあります。
  さて「鉄道」にとって「かわいい」とはどういうイメージを持たれるでしょうか?
 普通にイメージするのは専ら「車両や駅舎のデザイン」或いは「他にないファンシーな特色」と言ったものではないでしょうか。
 本書では「鉄道旅行」を筆頭に「ラッピング電車」「制服」「駅」「キャラクターグッズ」と言った具合に各ジャンルで「鉄道」の「かわいい」を俯瞰しています。
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 実際、本書ではそういうジャンルは外していませんしオールカラーの紙面で「かわいい鉄道」のイメージを俯瞰しているから最初の印象は「玩具箱をひっくり返した楽しさ」を感じたのも確かです。

 ですが本書を読んでいて改めて感じたのはここ30年くらいの間に「鉄道」の立ち位置が昔とは微妙に変化している象徴としての「かわいい」ではないかと言う事です。
 それは一言で言うなら「鉄道そのもののイベント化、趣味の対象化」
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 交通機関の主役だった頃の鉄道は「いかに早く、快適に目的地に行くか」が最大にして唯一の目的であり、その一点に向かって技術もデザインも進化してきました。多少デザインやインテリアに遊びがあるとは言ってもそれらは「長い鉄道旅をいかに快適に過ごしてもらうが」というレベルだったと思います。

 それが今では自動車や航空機などの競合する交通機関が並び立つ様になり、殊利便性の点では鉄道の方が圧されがちになっているのが現状と思います。
 この傾向は地方のローカル線やローカル私鉄に顕著と思われますが、その一方で一部で「鉄道バブル」とすら言われる「鉄道趣味の普及と勃興」と言うムーブメントも現れ始めているのも確かです。

 元々趣味というのは「手段が目的となること」という側面があり、手段そのものに魅力を感じ愛癖を感じる事が趣味であるともいえます。
 そうした流れの中「目的地に行くのが目的だった鉄道」から「乗る事それ自体が目的となった鉄道」への変化の兆しが現れ「走るホテルとしての豪華列車」だったり「車内のインテリアを愛でる」「車窓風景を楽しませるレストラン列車」と言った形や「他ジャンルとのコラボによるラッピング」「駅舎のイベントホール化やミュージアム化」「関連グッズの多様化」という形で現れているのが現状と思います。

 それらを「かわいい」の一言で括り俯瞰して見せている点である意味本書は「現代の鉄道図鑑」みたいな見方もできるのではないかと思います。
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 まあ、そんな堅苦しいことを思ったのはほんのいっときでして、実際はカラフルな見開きの連続で真夜中、寝床の中のひと時を理屈抜きに楽しませてくれる一冊なのも確かです(汗)
光山鉄道管理局
 HPです。


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