レイアウト趣味と「新幹線大爆破」

 今回はだいぶ前にサブブログで書いた映画ネタの再録です。
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 生まれた年代の関係もあるのでしょうか、私の鉄道模型の趣味はかなりな部分で昭和30~50年代のTV・映画の特撮物と重なっている部分があります。
 特にミニチュアワークに絡む部分ではレイアウトの情景創成との共通点が多く、子供の頃に見た特撮物のアングルや1カットに憧れを覚えたり、「こんなカットをモデル化してみたい」と感じる事も多々あります。

 その意味で原点となりうるのは主に昭和30年代の黄金期の東宝特撮なのですが、それについては後回しにして今回は列車が主役の特撮物と言う事で東映の「新幹線大爆破」を。

 作品のストーリーや内容については色々な方が文献やブログで取り上げておられるので、このうえ屋上屋を架すような事はここではしません。検索すれば大体のアウトラインはご理解いただけるものと思います。

 この作品は映画館ではなく、公開から大分経ってからTVで見たのが最初でした。洋画を中心にパニック映画ブームだった時勢に乗っかる形で急造された和製パニック物で初見の当時はストーリーは中々面白かった物の肝心のミニチュア特撮の部分がどうしてもちゃちに見えてしまい少なからずがっかりした覚えがあります。

 それから更に時が経ち、ミニチュアと言うよりもストーリー性に惹かれてビデオやDVDを購入し何度となく見返してきた作品です。ところが、レイアウトを作りはじめてから改めて観直してみると結構侮れないカットがいくつかあるのに気付きました。
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 中でも浜松駅で上り新幹線が通過した直後の上り線に下りの新幹線が入替え進入する部分(DVDでは冒頭から26分半位の部分)でミニチュアの浜松駅を上り新幹線がカーブしながら通過するカットには立った数秒のシーンながら鳥肌が立ちます。
 ミニチュア自体はごく平凡なレベルですが何と言っても個人のレイアウトではまず不可能に近いたっぷりした奥行きを利したセットのスケール感に圧倒されてしまうのです。
 聞く所ではこの辺の一連のカットは俗に「八百屋」と言われる全体に傾斜のついたミニチュアセットを組んで動力を内蔵していない新幹線を上から転がし落とす方法で撮影されたそうです。ミニチュア車両に動力がないというのもミソで下手にモーターを内蔵していたらこの部分の走行シーンはこう滑らかには行かなかったのではとも思えます。
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 また、クライマックスの停車シーンは明らかにミニチュアの新幹線と実景のパトカー、消防車、自衛隊車両と救助隊のエキストラの合成になる夜景なのですがミニチュアがちゃちであるにも拘らず画面全体のパノラマ感(シネスコ画面のメリットを最大に生かした左右の広がり感)のインパクトが強く、その意味でも私の好きなシーンであります。

 他のカットがミニチュア感が強すぎる事や構図に工夫が少ないといった難点もあるのですが今でも見返すたびに引き込まれます。

 と言っても、レイアウトを作る一人として「こんな風なレイアウトを作ってみたい!」と言ったレベルなのですが(笑)

 同じ作品を観るのでも「観客として」と「レイアウトを造る身」とでは結構視点が違ってくるのかもしれません。
 ちなみに本編部分の車内セットですがこちらは実際の車両工場に発注して作った物だそうですのでさすがにこれをちゃちだという人はいないと思います(笑)
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 鉄道博物館に0系の大窓車が展示されていますがこの車内に入ると気分はひかり109号です。私も初めて乗った時はずいぶんと浸りました(恥)


光山鉄道管理局
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この記事へのコメント

さいとう たいいち
2023年01月18日 22:21
こちらの方は1994年に映画「スピード」を見る前に「新幹線大爆破」をみましょうというイベント(大したことではないが)で見ました。
ここでは特撮セットのことよりも(国鉄全面「非」協力として)映画の間違いなどの話が主催者様から上映後にあって盛り上がった記憶があります。
ウイキペディアにも記述がありますが当時の東映にとっては一大転換点になったそうで、日本よりも海外での評価がすごく良かったといいます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E5%A4%A7%E7%88%86%E7%A0%B4
年代による差もありますが模型鉄道をやっている者の観点からは参考にすることはほとんどありませんでした。
鉄道模型大好きおじさん
2023年01月19日 22:13
「新幹線大爆破」は「福島50」とともに日本のパニック映画で大好きな作品です。
新幹線大爆破、面白いですが流石に今の目で観れば特撮のクオリティは其れほど高くないですね。
事実と違う描写もありましたし…
例えば、ひかり109号が上り線に転線する場面で、本来ならポイントの2Km手前以内に列車が来てる時はポイント転換が出来ない筈なのに劇中ではお構い無しで転換してました。
運転席に超特急と特急と回送を切り換える謎のスイッチがあったり…


光山市交通局
2023年01月20日 22:49
>さいとう たいいちさん

 本作には考証ミスも多い一方で確信犯的な変更(例えば指令室の配置が左右逆なところとか)なども結構あったりするのでその部分を取り上げてマニアが観れば結構楽しめるポイントのひとつと思います。

 ただ、考証面だけで作品の価値全てが語れるものではないのでその辺は割り切るべきでしょうね。

 本作は仰る様に初公開時に日本では不入りだったのですが、上映期間の短縮に伴う穴埋めとして公開された「トラック野郎」は本作の穴を埋めるだけの大ヒットを飛ばし後にシリーズ化されたのですから世の中何が幸いするかわかりません(笑)

 また本作は海外では主にフランスと中国でヒットを飛ばし海外版を基にした編集版が後にTVでも放映されています。
光山市交通局
2023年01月20日 23:01
>鉄道模型大好きおじさん

>運転席に超特急と特急と回送を切り換 える謎のスイッチ~
 以前も同じ事を書いた気がするのですが、この切替ダイヤルは量産型の0系にはついていませんが、試作車両には装備されていたもので後に事業車に改造された時もダイヤルはそのまま残されていたのだそうです。

 恐らく書籍などの資料だけで運転台を作った事からこうしたミスが出てきたのではないか(或いは演出上わざとダイヤルを付けた可能性もありますが)と推察しています。

 リアリティという点では東宝辺りに比べると良いとは言い難い作品ではあるのですが、本作で個人的に気に入っているのは模型のレイアウトでは不可能なレベルの緩曲線を駆使した線路やホームの配置とか、ラストシーンに見られるフル編成の新幹線が突堤上の端から端まで一枚の絵に収まるパノラミックな俯瞰シーンなどの見せ場のセンスです。
(それゆえに、本作はシネスコのノートリミング版で観るのが良いと思います)

 こういうのに燃えるのは車両派よりもレイアウト派の方の視点かもしれません。




光山市交通局
2023年01月20日 23:34
>さいとうたいいちさん
>鉄道模型大好きおじさん

 書き忘れていましたが本作でのもう一つの見どころに冒頭の「9600爆破シーン」がありましたね。

 国鉄の協力が得られなかったので私鉄の廃線の線路で払い下げの機関車を使ったシーンになった訳ですが、脱線した様に見せるために走行に合わせて線路柵をバタバタ倒したり建物に突っ込ませたりと、ある意味本筋よりもやりたい放題の描写の連続(笑)

 タイトルも本来なら「新幹線危機一発!9600大爆破!!」の方が劇中の事実に即している様な気が(爆)