「鉄道100年日本の機関車」

 帰省の戦利品から

 実を言いますと今回の帰省では例年になく鉄道関係の出物が少なく、期待したほどの戦果はありません。
 特に模型関係は外国型電機の中古モデルがひとつだけ。

 スケジュールのタイトさゆえに多くのショップを回れなかった事が影響している気もします。
 とはいえ、質的にはそう不作でもなく、個人的に面白い物にも触れられましたが。
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 という訳で今回紹介するのは児童書です。
 「写真で見る100年シリーズ 鉄道100年日本の機関車」(本島 三良 著 秋田書店)

 秋田書店という所は「写真で見る○○シリーズ」が結構多いのですが、中には「世界の怪獣」みたいに一枚も写真が掲載されない様なのもあったりしてw油断がならない児童書です。
 が、流石に今回のは写真と文章のほかはイラストの類すら一切ありません(当たり前ですが)
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 昨年無事に150周年を超えた日本の鉄道ですが、本書の上梓された「鉄道100年」の時とは様変わり感が強く一般レベルのムーブメントと言う点ではいまひとつだった様な気がします。
 尤も本書の出た頃は空前(絶後?)のSLブームの時期で普通の映画館で「素晴らしい蒸気機関車」「真紅の動輪」などが公開され「デゴイチ」なんて愛称がテレビや雑誌、一般の会話中にもよく出ていた頃でしたから、ノリが根本的に違うのも無理はありません。
 本書でも「日本の機関車」と名乗ってはいるものの中味の8割が蒸気機関車で占められており電機やディーゼル機関車にはお気の毒な内容ではあります。
 (実際、それらのボリュームは明治期の蒸気と共にかなりおざなりに見え
ます)
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 ですが、同時期の入門書と比べて本書の大きなアドバンテージになっているのが「蒸気機関車の写真」なのは間違いありません。
 各形式の解説は子供にもわかりやすい語り口ですが、情報量はほぼ最低限のレベルです。

 その分写真は実に豊富で、8620以降の近代型蒸機についてはあちこちで撮影された走行風景の写真が数多く掲載されています。
 しかもその一枚一枚が実に抒情を掻き立てられる好い雰囲気の写真なので、ただぼーっと眺めているだけでかなり癒されます。
 また、写真の多くが列車全体を俯瞰できる風景写真なのでレイアウト派にとっては「こういう情景を作りたい」衝動にかられそうな面もあったりします。
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 蒸機と言えども機関車単体よりも列車の先頭に立つ姿が一番魅力的なのは間違いなく、しかも線路のカーブや勾配と組み合わされることでその魅力が倍増するのを実感させてくれる写真が多く、ともすれば機関車偏重に陥りがちな類書にない特色と言えます。
 その意味で本書は今でも「大人の絵本」的に楽しめる一冊ではないかと思います。

光山鉄道管理局
 HPです。


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この記事へのコメント

さいとう たいいち
2023年04月07日 14:40
当時の年少者向けの本で「日本の機関車」「世界の機関車」は鉄道の基礎的な情報を知る上で参考になりました。同じ方が収集したメーカー公式写真を中心に構成されているのでわかりやすかったです。蒸気機関車の走行写真の内、小海線のC56とC12や東海道線のC53は戦前の撮影なので当時の状況を知るのに役立ちました。
※1960年代の鉄道ピクトリアルに同じような撮影記録があるので、さらに知ることができました
光山市交通局
2023年04月10日 18:51
>さいとう たいいちさん

 確かに近代型以降が中心とはいえ、戦前の写真は多かったですね。特にC53は戦後の活躍が殆どないだけに貴重だと思います。

 文章は子供向けとはいえ非常にかみ砕いて表現されているので大人のビギナーにもとっつきやすかったのではないでしょうか。