「もうひとつの」NゲージEF55のはなし
先日の帰省で読んだ本から。
今月に入ってNゲージのEF55ネタでわたし一人が盛り上がっていましたが、帰省中にもまたEF55のネタが拾えたのですから今月はよくよくEF55づいています。
これまで当ブログではKATOを筆頭にワールド工芸やマイクロエースのEF55のNゲージモデルを紹介してきましたが、そのどれとも異なる第4のNゲージEF55モデルの存在を思い出し、実家の本棚を再度ひっくり返しました。
(科学教材社「模型とラジオ」83年4月号42Pより画像引用)
1983年の「模型とラジオ」4月号の誌上ででボディをほぼ自作する形式の「NゲージのEF55の作り方」が掲載されていたのです。
作例の写真が存在するのでNゲージとしては事実上最初のEF55のモデル化ではないかと思います。
当時のTMSやとれいん誌上でもNゲージのEF55の製作記事にはお目にかからなかったと記憶していますが、この記事の凄いところは専門誌の「マニアの製作記」ではなく「中高生向けの製作法」として書かれているところにあります。
これは当該号の表紙ですがガンプラブーム頃の本だけあって、御覧の通り「アニメモデルの特集」が表紙を飾り、EF55どころか鉄道模型の記事が載っているとはちょっと思えないものです。
製作法の記事を書かれたのは菊地文雄氏。
「とれいん」の創刊号で作品の特集が組まれたほどのベテランモデラーですがその後、模型とラジオ誌上で様々なN・HOの車両の工作法を掲載されていた方です(わたしも割合最近、本誌の記事を基にEC40を作りかけた事があります)
何しろほかの記事でも「ゼロから動力を製作する様なNゲージ車両工作」を手掛けていた氏の事、動力ユニットこそエンドウのEF16用を流用しているとはいえ、ボディや先台車周りはほぼフルスクラッチ。
(科学教材社「模型とラジオ」83年4月号45P より画像引用)
ボディは記事の中では0.3ミリ厚のプラバンで製作する形式になっていますが、作例写真のモデルはブラスで造形されており「真鍮の方が先頭部は作りやすい(ただし動力ユニットの絶縁に注意)」とも書かれています。
(科学教材社「模型とラジオ」83年4月号43P より画像引用)
このモデルでも製作の肝は先台車周りですが、マイクロやワールドと同様に先台車上の台枠を可動式にする機構が取り入れられている点が興味深いです(事によるとこの2社も設計の段階で当記事を参考にした可能性はあるかもしれません)
また、当時としては珍しかったライトユニットも動力ユニットに基盤を接着する形で自作する技法が紹介されています。
(科学教材社「模型とラジオ」83年4月号46Pより画像引用)
繰り返しますが、これらの技法は「製作法」として紹介されており、材料と腕があれば理論上記事と同じものができる(はず)と言うのが今見ても凄い点だと思います(因みに材料費は動力ユニット込みで4500円ちょっと。今の感覚だと動力ユニットを現在の製品にしたとしても1万円ちょい位ではないでしょうか)
ただ、気になるのはこの記事も含めてこれらの模型とラジオの記事を見て実際に製作に挑戦した(そして完成させた)読者がどれだけいたか、です。
上記の通り、当時の模型とラジオはこの号一つとって見ても記事の大半がガンプラ系。電子工作がそれに次ぎ、鉄道模型の記事は本記事だけです(海洋堂のVFキットで「海底軍艦・轟天号」の記事まであったのにはぶったまげましたw)
その意味では本誌の中でも鉄道模型系の記事は聊か浮いた存在でもあったと思いますが、それでもこれらの記事は当時の鉄道模型専門誌になかった特異な地位を保っていたと思います。
光山鉄道管理局
HPです。
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この記事へのコメント
プラ細工でいろいろやって見た自分の経験談的に、スチレン0.3mm厚で強度のある部位はNでもほぼ無理です。(直後は良くても変形する)
0.5~1mm級でも普通の車体のように「底のない箱」を組むと側面の長い部位が曲がりやすく、内部に補強材を入れるのが安全です。
(動力車などの場合「ダイカストにぴったりくっついているならセーフ」な場合もありますが)
ただ、Nゲージのバラキット組立の詳細について詳しく出ているので買った際の参考雑誌としての価値はありました。
0,3ミリ厚のプラバンは仰る通りヘロヘロの材質ですね。
作例写真はブラスで表現されていますが元々筆者がブラスメインのモデラーだったのでプラバンの強度と耐久性を読み切れなかった可能性はあるかもしれません。
模型とラジオ末期の鉄道模型記事は当時としてもマニアックな題材や技法のオンパレードでクラシックなモデルもかなりありましたね。
KATOがちびロコを出す前に全く同じ構成のモデルを記事にした事もありましたが、いくらフリーでも蒸気のロッドまで自作するのは相当に難しかったのではないかと(ユーレイ動力のワムも車体は市販品でも動力はギアから作るレベルでしたし汗