取説に感じた海外と日本の鉄道模型の違いに思うこと
先日紹介したフライッシュマンのBR94蒸気機関車のNゲージモデルに関連して感じた事をば。
購入当初はモデルを愛でたり走らせたりして(笑)楽しんでいましたが、ある時パッケージからモデルを引っ張り出していたらパッケージの厚紙に何か印刷されているのに気が付きました。
早速引っ張り出してみるとこれが「BR89の模型の構造写真」でした。
モデルの分解方法(メンテナンスやリペアの参考にという事なのでしょうが)が写真で懇切丁寧に記されていてこれを見れば誰でもモデルの分解までは出来そうな勢いです(笑)
同梱されていたペラ紙(実はこっちの方がメンテナンス解説かと思っていたのですが)はかなりの厚みで「モデルの全ASSYパーツの写真付きリスト」になっています。ボディはもとよりモーターやギアの一つ一つ、ロッドのバラ部品に至るまで個々に取り寄せができるシステムになっている様です。
機関車1両の取説でこの充実度。その晩は夜っぴて眺めていましたが、全く飽きませんでした。
これに興味を持ったので、手持ちのNゲージモデルから同じフライッシュマンはもとより、アーノルドラピード、ミニトリックス、ROCOなどの外国型Nゲージモデルの取説をチェックしてみたら
そのどれもが基本的に同じノリの「ユーザーが分解してメンテナンスやリペアを行う前提」の解説になっていて驚きました。しかも一部を除いてどれもが図版や写真が豊富で「見ているだけでワクワクしてくる」という共通点があります。
1970~80年代頃のNゲージのモデルについては当時のTMSですら「Nゲージのモデルは小さい割に精巧な構造になっているのでうかつに分解しない方が良い」と書いていた位ブラックボックス的扱いになっていまして、車両の工作・改造記事も基本車体を自作して既存の動力を転用する(これは同じ動力を転用するナローゲージも同様)のが基本でした。
模型を売る方も基本同じスタンスで、旧しなのマイクロなんかは「機関車の動力ユニットに封印シールを張り付け『これを剝がしたら無償修理しません』と言う意味の警告をつけていた」ほどです。
その点は今のKATOやTOMIXになっても基本的には変わっていない様で説明書の厚みは上記の海外モデルに匹敵するのに、内容がカプラー交換、ディテールアップパーツの取り付け、車両を分解する様な加工は精々が室内灯の取り付けくらいしか載っていません。
まあ、国民性と言うか時代性と言うか、イマドキだとモデルが故障したり調子が悪くなるとすぐにメーカー送りにして修理してもらうのが当然という風潮が主流(まあPL法とかの絡みもあるでしょうし)となっています。
ですがその一方で「Do It Yourself」の精神の面では幾分かにせよ趣味人としてのレベルが後退しているような気もしないではありません。
自分でできる調整が車輪のクリーニング程度と言うの心理的には幾分心もとない感じもしますし、自分の持っているモデルの構造がどうなっているかもわからないまま、モデルを愛でたり走らせたりするだけというのではモデルへの愛着にも差が生まれる様な気もするのです。
今回触れた外国型モデル(それも旧製品)は下手な日本モデルよりも精巧、且つ精密な走行系を持っている物が多いのですが、模型としての構造を惜し気も無く晒して、あるレベル以上のユーザーにメンテやリペアを委ねるという姿勢(決してメーカー修理を否定するものではないですが)には少なからず共感を感じました。
たとえ、技術的に自分の手に負えないとしても、モデルの構造を把握したうえで「どの辺がおかしくなっていそうだ」と見当を付けられるだけでもユーザーの安心感は違うと思いますし、海外の場合はそうした所も含めてメーカーが自社のメカニズムの信頼性に対する自信と矜持を持っている事をも示しているように感じました。
まあ、日本メーカーのブラックボックス化しているように見える動力の構造やリペアの情報も今だったらネットで検索を繰り返せばある程度分かる様にはなっていてはいます(新製品が出るたび、購入・分解して機構をチェックして下さる神様みたいなサイトもあるくらいです)
ですから、今さらこんな事を書いても時代遅れの繰り言にしか聞こえないかもしれませんね(大汗)
光山鉄道管理局
HPです。
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購入当初はモデルを愛でたり走らせたりして(笑)楽しんでいましたが、ある時パッケージからモデルを引っ張り出していたらパッケージの厚紙に何か印刷されているのに気が付きました。
早速引っ張り出してみるとこれが「BR89の模型の構造写真」でした。
モデルの分解方法(メンテナンスやリペアの参考にという事なのでしょうが)が写真で懇切丁寧に記されていてこれを見れば誰でもモデルの分解までは出来そうな勢いです(笑)
同梱されていたペラ紙(実はこっちの方がメンテナンス解説かと思っていたのですが)はかなりの厚みで「モデルの全ASSYパーツの写真付きリスト」になっています。ボディはもとよりモーターやギアの一つ一つ、ロッドのバラ部品に至るまで個々に取り寄せができるシステムになっている様です。
機関車1両の取説でこの充実度。その晩は夜っぴて眺めていましたが、全く飽きませんでした。
これに興味を持ったので、手持ちのNゲージモデルから同じフライッシュマンはもとより、アーノルドラピード、ミニトリックス、ROCOなどの外国型Nゲージモデルの取説をチェックしてみたら
そのどれもが基本的に同じノリの「ユーザーが分解してメンテナンスやリペアを行う前提」の解説になっていて驚きました。しかも一部を除いてどれもが図版や写真が豊富で「見ているだけでワクワクしてくる」という共通点があります。
1970~80年代頃のNゲージのモデルについては当時のTMSですら「Nゲージのモデルは小さい割に精巧な構造になっているのでうかつに分解しない方が良い」と書いていた位ブラックボックス的扱いになっていまして、車両の工作・改造記事も基本車体を自作して既存の動力を転用する(これは同じ動力を転用するナローゲージも同様)のが基本でした。
模型を売る方も基本同じスタンスで、旧しなのマイクロなんかは「機関車の動力ユニットに封印シールを張り付け『これを剝がしたら無償修理しません』と言う意味の警告をつけていた」ほどです。
その点は今のKATOやTOMIXになっても基本的には変わっていない様で説明書の厚みは上記の海外モデルに匹敵するのに、内容がカプラー交換、ディテールアップパーツの取り付け、車両を分解する様な加工は精々が室内灯の取り付けくらいしか載っていません。
まあ、国民性と言うか時代性と言うか、イマドキだとモデルが故障したり調子が悪くなるとすぐにメーカー送りにして修理してもらうのが当然という風潮が主流(まあPL法とかの絡みもあるでしょうし)となっています。
ですがその一方で「Do It Yourself」の精神の面では幾分かにせよ趣味人としてのレベルが後退しているような気もしないではありません。
自分でできる調整が車輪のクリーニング程度と言うの心理的には幾分心もとない感じもしますし、自分の持っているモデルの構造がどうなっているかもわからないまま、モデルを愛でたり走らせたりするだけというのではモデルへの愛着にも差が生まれる様な気もするのです。
今回触れた外国型モデル(それも旧製品)は下手な日本モデルよりも精巧、且つ精密な走行系を持っている物が多いのですが、模型としての構造を惜し気も無く晒して、あるレベル以上のユーザーにメンテやリペアを委ねるという姿勢(決してメーカー修理を否定するものではないですが)には少なからず共感を感じました。
たとえ、技術的に自分の手に負えないとしても、モデルの構造を把握したうえで「どの辺がおかしくなっていそうだ」と見当を付けられるだけでもユーザーの安心感は違うと思いますし、海外の場合はそうした所も含めてメーカーが自社のメカニズムの信頼性に対する自信と矜持を持っている事をも示しているように感じました。
まあ、日本メーカーのブラックボックス化しているように見える動力の構造やリペアの情報も今だったらネットで検索を繰り返せばある程度分かる様にはなっていてはいます(新製品が出るたび、購入・分解して機構をチェックして下さる神様みたいなサイトもあるくらいです)
ですから、今さらこんな事を書いても時代遅れの繰り言にしか聞こえないかもしれませんね(大汗)
光山鉄道管理局
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この記事へのコメント
いやはや、言われなかったら気が付かない所でした。
(日本の奴は基本注油しない前提のが多い、とりあえず変な所について通電が悪くなると怖いのでLOCOの接点回復オイルを少しつけています。)
余談なのですが、光山市交通局様が2週間ほど前に言ってらした体調不良ですが、私も昨日から風邪気味で休みを取っています。お互い気を付けたいものです。
メーカーの考え方の違いをユーザー側が知ってもおかしくはないでしょう。ほとんどの製品にはDCCデコーダーに対応するため、故障で修理する際に確認してもらいたいことと思います。日本ではこれに関してはほとんど普及しないので必要としないのではないでしょうか。
当方が知る限り日本メーカーでこのような図は、ホビセンASSYパーツ売り場の近くにあるファイル置き場くらいしか見たことはないです。あとはNゲージのビンテージ製品解説本や個人HPくらいでしょうか。
まあ気軽に楽しむという点で(あとPL法回避か?)ブラックボックス化というのはありでしょうが……。ただまあ専門職人とまでは行かずとも、自分の玩具を自前メンテでこなせなくなるのも、遊ぶ幅を狭めるようにも思います。
かく言う当方もせいぜい香港tomyの各種電機、汽車会社CタンクやCタイプ入換DLにレールバス、 KATO首振りスカート電機などを数両ずつ直した程度の経験しか無いのですが……
其の割には、細かいパーツは取付済みでユーザー取付パーツというのは殆ど無いのが矛盾してますけど。
逆に日本のメーカーは、修理はメーカーに任せるよう取説に書かれています。
其のくせに細かいユーザー取付パーツが山ほど付属しているのですから、これはこれで矛盾しています。
そのような人はモデラーではなく、只のコレクターですよ。
私が子供の頃は、父親が戦車や軍艦の模型を作ったり、故障したオーディオ機器等を修理するのを見て育ちましたから、私は手を動かすのが大好きです。
ハンダ鏝やテスターなども小学生の頃から使えました。
最近のお父さんは手を動かさないのでしょうか…
父親がやらなければ子供も興味を持ち難いですよね。
日本のNゲージモデルで注油を勧めていたのは初期のKATO(関水金属)やトミーナインスケール辺りだったと思います。
(その油と言うのが「ミシン油」と言うところに時代を感じますね。と同時に今の家庭から足踏みミシンがいつの間にかなくなっている現状とも重なります)
LOCOは使う人はバンバン使う一方で嫌いな人は徹底的に使わないケミカルですが、わたしは旧モデルで接点から火花がバンバン出るようなモデルで使う事が多いです。
今年はコロナとインフルのダブルパンチ(何しろ10月に学校が何日も休校しているという非常事態です)の上に気候自体も不順なので身体を壊しやすい条件が例年になく多い感じがします。
どうかそちらもお大事にしてください。
説明書のポリシーは国やメーカーによっても大きく異なる事が多いですが模型に対する捉え方の差が取説に反映しているというのは実は今回のモデルで初めて実感させられるところでした。
個人的な意見ですが、DCCのシステム自体が「既存のモデルにユーザー(あるいはカストマイザー)が後付けする」前提であり続ける限りはDCCの普及は今後も難しいように思います。
異なる次元で運転が楽しめる魅力はわからないでもないですが、その前に分解整備並みの工程を挟まなければならないというのは、聊か本末転倒な感じもします。
(メルクリンデジタルやホーンビィの一部モデルの様に最初からデジタル実装されたモデルがいくつもあって、それでデジタルのメリットを実感したうえで既存モデルをいじるというならまだわかるのですが)
わたしも動力のばらしやリペアの頻度と言えば、そちらと似たり寄ったりのレベルの経験しかないです(汗)が、特にマイクロやTOMIXなんかの様に分解図も何もない状態でのリペアは本当に神経を使います。
(デジカメの御利益のひとつと思うのですが、一工程ごとに写真を撮って参照しながらリペアや改造を行っていますが、そうでもしなければこういう真似はなかなかできませんね)
それでもビンテージモデルの分解整備の本が出たり、構造解説をしてくれる個人サイトがあるだけでも今は有難い時代ともいえるかもしれないですね。
Nゲージに関する限り(本当はHOもそうなのですが)彼の地では「鉄道模型=走らせて楽しむもの」と言うポリシーが強いと感じますね。
日本の場合Nゲージであっても「実車さながらの細密度を飾って楽しむ」比率の方が高い印象もあります。
今回とり上げた取説の比較ではそうしたポリシーの差がメンテナンスに対する態度に端的に出ていたのではないでしょうか。
今、動くホビー界隈で一番手を動かしているのはミニ四駆の世界ではないかと思います。
あちらの方は個人レベルのカスタマイズやパワーアップなんかをメーカーやサードパーティが半ば推奨している面もある様なので全てとはいかないまでも「手を使うホビーとしての鉄道模型の行き方」について参考にできる部分も多少はあるかもしれません。
(かつてはRCカーや飛行機もそれに近いものがあったと思いますが特に後者は最近ドローンに押されがちと聞いていますし)