鉄道ミステリとテツドウモケイ・その39「恐風」と京王電車(?)
先日「森林鉄道みやま号」を久しぶりにアップした「鉄道ミステリと鉄道模型」ネタ。
この機会にと他の作品も久しぶりに読み返してみたら、このブログで書けそうなネタをいくつか再発掘できたので、久しぶりに再開してみようかと思います。
今回取り上げるのは徳間書店版「殺しのダイヤグラム」所収の島田一男作「恐風」
大雑把に書くとこういう流れのはなしです。
本作は島田一男お得意の事件記者シリーズの初期に当たる作品ですが、作者自身が新聞記者出身だったこともあり取材関係の描写が生き生きしているのが特徴です。
内容的にはダイヤグラムを駆使した列車の乗り継ぎに伴う死体の詰め替えが主眼に置かれた、今となっては古典的な鉄道ミステリなのですが、記者や警察はもとより容疑者や聞き込み先の女中やタクシー運転手に至るまで人物描写が生き生きしているので短編としては比較的長い作品にも拘らず最後までぐいぐい引き込んでゆく力があります。
(実は本作に限っては今回の鉄道ミステリを手にする以前に「事件記者シリーズ短編集」の一編として読んでいた作品でもありました)
さて、作中に登場するKK線は新宿を起点に東京西部を走る私鉄という想定。おそらくモデルは京王線、あるいは小田急線ではないかと思われます。
本作でもうひとつ印象に残っているのが北崎部長の「番線指揮所」という設定。
(徳間書店刊「殺しのダイヤグラム」83Pより引用)
携帯どころか普通の電話すら個人レベルで普及していないあの時代、新聞の取材班がターミナル駅のホームをハブとして使うのはありそうな事ですし、実際もこういう事が行われていたのだろうと思います。見るからに活気のありそうな場面でもあるので都会風のレイアウトなんかでホーム上に番線指揮所のミニシーンを入れてみたくなります。
さて、作中での11番線はKK線のホームという事になっていますが、当時の新宿駅では国鉄のホームの隣に京王、小田急のホームも並ぶ配置だったそうなので今よりも見晴らしは良さそうです。
本作が書かれたのは昭和26年の事ですが、Nゲージでそれに該当しそうな京王、小田急の車両というのは意外と少ない様です。
京王なら鉄コレでリリースされたデハ2404くらい、小田急でも1800形程度〈1700が登場したのがこの年ですが、本作では優等列車の描写はありません)でしょうか。
作中で登場人物の駅員が死体を運んできた電車について「あの車両には最後部に荷物室が付いている」と発言しているのですが、該当しそうなのは京王の旧玉南仕様のデハ2000(一般に知られているデハ2000系の前に存在した初代機種)の様です。流石に旧2000系はNゲージでも出ていない様なのでデハ2410で代用していますがw
(実車は木造車体のダブルルーフでサイズ以外の共通点は殆どありません)
まあ、架空の私鉄だから・・・と割り切っても差し支えはないですが(大汗)
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この機会にと他の作品も久しぶりに読み返してみたら、このブログで書けそうなネタをいくつか再発掘できたので、久しぶりに再開してみようかと思います。
今回取り上げるのは徳間書店版「殺しのダイヤグラム」所収の島田一男作「恐風」
舞台は郊外電車KK線の中間駅S。
ある夏の日の夕方手荷物扱い所のトランクから女性の全裸死体が発見された。
たまたま現場に居合わせたS通信支局の新聞記者江上は、本社北崎部長の指揮の下、急遽召集されてきた記者たちと共に行きがかり上、事件の探索と取材に乗り出す事になる。
死体を詰めたトランクは熱海から発送されたものだったが被害者が持っていたトランクとは異なる物だった事が判明。どこかで死体の詰め替えが行われた可能性が濃厚となったが熱海からSの間で少なくとも7回のチャンスがある事が示唆され、それらの探索に記者たちも捜査陣も振り回される。
更に被害者の女性は代議士夫人の高利貸で性生活も奔放だったため容疑者の絞り込みもなかなか進まない・・・
大雑把に書くとこういう流れのはなしです。
本作は島田一男お得意の事件記者シリーズの初期に当たる作品ですが、作者自身が新聞記者出身だったこともあり取材関係の描写が生き生きしているのが特徴です。
内容的にはダイヤグラムを駆使した列車の乗り継ぎに伴う死体の詰め替えが主眼に置かれた、今となっては古典的な鉄道ミステリなのですが、記者や警察はもとより容疑者や聞き込み先の女中やタクシー運転手に至るまで人物描写が生き生きしているので短編としては比較的長い作品にも拘らず最後までぐいぐい引き込んでゆく力があります。
(実は本作に限っては今回の鉄道ミステリを手にする以前に「事件記者シリーズ短編集」の一編として読んでいた作品でもありました)
さて、作中に登場するKK線は新宿を起点に東京西部を走る私鉄という想定。おそらくモデルは京王線、あるいは小田急線ではないかと思われます。
本作でもうひとつ印象に残っているのが北崎部長の「番線指揮所」という設定。
部長自ら種取りに出動した場合には、よく連絡場所を国電のホームにもって行く。一番人目につかなくってもっとも機動力を発揮できるのは国電のホームである。
ーよーし、じゃ俺は某某駅の何番線ホームにいるぞ・・・。
北崎がこういう時は事件はいつも追い込みに入っていた。―編集ではこれを北崎の番線指揮と言っている。
その北崎が、今日は新宿駅11番線におみこしを据えているのだ
(徳間書店刊「殺しのダイヤグラム」83Pより引用)
携帯どころか普通の電話すら個人レベルで普及していないあの時代、新聞の取材班がターミナル駅のホームをハブとして使うのはありそうな事ですし、実際もこういう事が行われていたのだろうと思います。見るからに活気のありそうな場面でもあるので都会風のレイアウトなんかでホーム上に番線指揮所のミニシーンを入れてみたくなります。
さて、作中での11番線はKK線のホームという事になっていますが、当時の新宿駅では国鉄のホームの隣に京王、小田急のホームも並ぶ配置だったそうなので今よりも見晴らしは良さそうです。
本作が書かれたのは昭和26年の事ですが、Nゲージでそれに該当しそうな京王、小田急の車両というのは意外と少ない様です。
京王なら鉄コレでリリースされたデハ2404くらい、小田急でも1800形程度〈1700が登場したのがこの年ですが、本作では優等列車の描写はありません)でしょうか。
作中で登場人物の駅員が死体を運んできた電車について「あの車両には最後部に荷物室が付いている」と発言しているのですが、該当しそうなのは京王の旧玉南仕様のデハ2000(一般に知られているデハ2000系の前に存在した初代機種)の様です。流石に旧2000系はNゲージでも出ていない様なのでデハ2410で代用していますがw
(実車は木造車体のダブルルーフでサイズ以外の共通点は殆どありません)
まあ、架空の私鉄だから・・・と割り切っても差し支えはないですが(大汗)
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