「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」
先日の秋葉行きで入手した一冊から。
一昨年くらいからWEBで話題になっていたコミック「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」(らった作 NEKO PUBLISHING)
これの単行本がWEB販売で売られ始めた事は知っていましたが、先日の上京を決めた時「どうせなら店頭で買ってみたい」と思い立って秋葉原の書泉ブックタワーに赴きました。
開店直後の売り場で単行本を手に取りレジへ。
紙の本はこの時の感動と手に取った時の本の重さ(軽さ?)と質感をも楽しむもの、それも家で配送を待っているよりも自分から買いに行く方が楽しい感じがします。
(これの中間的なイメージが最近の「コンビニ取り置き」ですが本屋でもない店に本を引き取りに行くというのだけが違和感があります)
まあ、余談はさておき
本作の内容はタイトルそのまんま(笑)
「関東の架空私鉄を舞台に電車を運転して、電車を車庫に入れて、電車を分割併結して、他社からの乗り入れ車両を運転したりする」という、それだけのマンガです。
ですが本作の白眉と言って良いのはそれらを運転するのが「オオカミさんたち」であるという点。
それも人間の世界にオオカミが紛れ込んだのではなく「元々がオオカミたちの世界の鉄道のはなし」として成立させているのが素晴らしいと思いました。
それでいて運転に関してはこの種のファンタジーにありがちなおとぎ話的設定は一切なし。実車の電車を運転する時とほぼ同じ手順、運行システムが再現されていて職業人としての会話のノリも非常にリアリティがあります。
(それでいて「俺は肉球に冷えピタを追加で」なんてセリフも飛び出してくる)
第一実際の鉄道を舞台に人間を主人公にしたマンガでだったら、これだけ無味乾燥な専門用語が飛び交うだけのはなしに面白さのポイントをどこに感じたらいいのかわからなくなると思うのですが、キャラクターをオオカミにしたというだけで「まるでガンダムの日常描写を覗いている」様な面白さを出しているのですから。
更にそれを支えているのが、一種温かみを感じさせるキャラクターの作画と丹念な日常描写。オオカミたちのキャラクター毎の描き分けもしっかりしていてリアルとファンタジーのバランスをうまく取っている印象でした。
巻末の設定資料のボリュームも豊富で架空世界の架空鉄道創生の魅力が横溢しています。
本作の作者は姉妹編としてRM MODELSに「オオカミが鉄道模型を始めるマンガ」というのも連載していますがこちらの方も(「TEZMO SYNDOROME」と併せて)単行本化を熱望いたします。
なお、今回から鉄道関連、鉄道模型関連のマンガに因んだネタを「コミック」という独自カテゴリに分類する事にしました。
検索の際のお役に立てれば幸いです。
光山鉄道管理局
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この記事へのコメント
私も毎回楽しみにしています。
毎月、RMモデルズの発売日になると本屋に行って立ち読みで済ませますけどね。
最近のRMモデルズは矢鱈に広告ばかり増えて、肝心の工作の記事が殆どないので、お金を出して買う価値が見いだせません。しかも定価は上がる一方という…
なぜキャラクターが可愛い女の子ではなく、オオカミがなのか理解に苦しみますが、内容はなかなかリアルですよね。
年少者にもオススメできると思います。
年少者は鉄道模型雑誌をあまり買わないかもしれませんけど…
かく言う私も12歳から鉄道模型をやっていながら、鉄道模型雑誌を買うようになったのは30歳を過ぎてからでした。
>なぜキャラクターが可愛い女の子ではなく、オオカミがなのか~
他誌の類似作(実は少ないながら存在します)などで感じるのですが、最近は萌え系マンガも過当状態で相当な画力とセンスがなければ目立つのが難しい状況ですから、そこを敢えて外してオオカミにしたというセンスはわたし的には大いに評価しています。
今の年少者(のボリュームがどれくらいなのかわかりませんが)がよく読む専門誌はおそらく「N」ではないでしょうか。投稿のイラストやアンケートの年齢構成などから感じられる事ですが。