鉄道ミステリとNゲージ・その40「急行しろやま」

 今回は久しぶりに鉄道ミステリと鉄道模型ネタから
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 今回は徳間書店刊「犯罪交差点」所収の中町信作「急行しろやま」をば

 ある日、岡山県内を疾走する西鹿児島発大阪行きの急行「しろやま」から一人の男が転落死しているのが発見された。
男は広島から乗車した東京の教科書出版社の部長だったが、死体の頸部に絞められた跡があった事から殺人事件と断定され地元警察の樋渡、警視庁の津村の両刑事が捜査を始める。

 やがて捜査線上に被害者の部下の係長が浮かび上がるが、彼には犯行の前後には府中市の中学校にセールスに出かけていたというアリバイがあった―

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 というのが大まかなストーリーです。
 作者が教科書の出版社に勤務していた経験があったとの事で出版社の内幕描写にはかなり力が入っており、当初は被害者の殺害動機も会社の労働争議に絡む軋轢が想定されていたりします(これ以上書くとネタバレになりそうですが)
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 トリックの中心は例によって時刻表利用のアリバイですが、トリックの中心となる核は鉄道とは別な部分にあるので今でもそれなりに通用はしそうです(今ならアリバイよりも話題作りの豆知識のレベルだと思いますが)

 さて、本作に登場する「しろやま号」ですが、大阪~西鹿児島間を行き来していた寝台急行との事です。
 運行期間が昭和38年~47年のごく短い期間でしたが10系の寝台車とスハ43系旧客の組み合わせでスタートし、後期になるほど10系の比率が上がってゆく編成になっている様です(最終期には旧客は13両編成の1両だけになる)
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 本作が書かれた当時(昭和44年)の牽引機はEF58、EF30、ED72、DD51がリレーしていた模様ですが、わたし的には「ED72」に特に惹かれるものがあります。
 いわゆる「鳩胸」と呼ばれる逆スラントノーズの前面はスタイリッシュに感じる上にわたしの故郷や現住地では見かけないデザインですから、これが10系客車を牽いている様を想像するだけでワクワクする訳でして。
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 生憎フル編成のしろやまが組めるほど10系を持っていないので適当にショーティ化した編成しかできませんが、EF30やED72の牽く客車急行をレイアウトで走らせるのも愉しかったりします(最後の方はミステリそっちのけのはなしになってしまいました笑)

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この記事へのコメント

匿名希望
2024年05月11日 09:11
列車から転落死というのが現代ではありえないかと。
旧客時代特有の事象ですね。
レサレサ
2024年05月11日 09:35
>列車から転落死
ミステリーみたいなリアルであった事件だと、事件名を覚えていませんが、寝台列車で出かけてた音楽家の爺さんが線路わきで重傷で見つかり後に死亡。
乗っていた列車がこの近くを通ること、状況から殺人・自殺が考えにくいことから、
A:夜間、夏だったので涼もうとデッキに出て扉を開けてたら揺れて落ちた。
B:夜間、洗面所にいったあと扉を間違えて(この爺さんは目が悪かった)客室側ではなく乗降扉を開けて転落。
のどちらかではないかとされたそうです。
レサレサ
2024年05月11日 09:47
補足:転落事故

その後調べてたら「宮城道雄」という作曲家・箏曲家の方だったようです。
1956年6月25日未明に愛知県の刈谷駅近郊で倒れているのを発見、救助時点では意識もあり名前も言えたそうですが、致命傷を負っており午前7時15分に死亡。
その後の調べで寝台急行「銀河」に乗ってたはずがいなくなっており、ここから転落したんだろうと考えられています。
匿名希望
2024年05月11日 22:08
宮城道雄氏といえば『春の海』ですね。
タイトルでピンとこなくても誰もが聞いたことあると思います。
光山市交通局
2024年05月11日 22:50


>匿名希望さん
>
 実は鉄道ミステリで「被害者を走行中の列車から突き落とす」という殺人方法は昭和50年代くらいまでは割とポピュラーな手口でした。

 旧客なんかはドアを開けっぱなしにして走っているのが半ば当たり前でしたし、実際そうでもしなければ夏場なんか暑くていられませんでしたから。
光山市交通局
2024年05月11日 22:54

〉レサレサさん
>匿名希望さん
>
 宮城道雄氏の事故はわたしも聞いた事があります。

 あの当時は急行でも自動ドアではなかったでしょうし、周囲をノイズに囲まれる列車内では目を閉じると方向感覚が狂いがちになりますからこういう事故も多かったと思います。

(だから当時のミステリ小説で「列車から突き落とす」話も多かったのでしょう)