宮沢模型のEF55と「鉄道模型考古学N」のはなし

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 相変わらず鉄道とテツドウモケイのはなししかしないブログですが、今後ともよろしくお願いします。

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 さて、今回は先日入線した宮沢模型ブランドのEF55のはなしから。
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 これに限らず、今回入線したヴィンテージモデル大行進に際しては帰宅後、故松本吉之氏の「鉄道模型考古学・N」と首っ引きで入線した車両たちのチェックを行っています。
 この間のJAMに際して松本氏の事に触れたばかりなのに、今また氏の代表作が役に立っているわけで、私のホビーライフにおける氏の影響力の大きさに改めて感じ入っている次第です。

 特に今回の再読の中で一番参考になっているのが宮沢模型のEF55でした。
 上掲書によると、このモデルは(宮沢模型から発注された)ワールド工芸のEF55としては二世代目に当たるもので、いつもならキット主体の同メーカーの中では珍しい「完成品のみの限定品」という扱いになっています。
 そのせいか、サイズが初代よりも大きくなりまるで別物の様な扱いを受けているのが今モデルの特徴でもあります。

 ところで、今回入線させた55と「考古学」に掲載されていた写真のEF55とでは、これまた印象が違うのです。
 こちらのEF55はむやみに腰が高いうえに先輪が「普通のプレート車輪(要するに昔のNゲージの車輪によくある奴)」でどうかすると軸が指に刺さりそう(笑)な一種過激な構造。更に車体の真ん中にはほかのモデルにはない「2連のエアータンクが鎮座」しています。
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 改めてよく見ると、この足回りの構造は当鉄道で今年の春に入線した「TOMIXのEF58初期型の動力ユニットそのままの形状」なのです。
 なにしろ従台車のフレームまで58のそれを転用しているせいで平妻のほうの1軸台車が異様に間延びして見え、KATOやマイクロのそれを見慣れた目からすると不気味ですらあります。

 ところが、これらの特徴的な部分が「考古学」掲載の写真からは全く消えているのです。
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(ネコパブリッシング 松本 吉之著 「愛蔵版鉄道模型考古学N」47Pより画像引用)
 本文中では先輪を「シバザキ模型のスポークに交換している」と軽く触れている程度ですが、写真を見る限りではそれに加えてエアータンクの撤去(TOMIXのEF58は動力ユニットの車体側にエアータンクが付いていました)何らかの腰を落とす処理を加え、更に斜め前からのアングルで撮影することで平妻側の1軸台車の不自然さをカバーしているように見えます。
 (それでも中央部の2軸の動輪付近の台車の造形が不自然に見えるあたりにエアータンクの痕跡が感じられます)

 これらの点から本書の中で松本氏が宮沢のEF55の掲載に当たり一種の加工というか美容整形(笑)を加えた可能性は濃厚だと思います。
 もちろん、それが悪い事ではなく同書掲載の中村精密のC51などでもモデルの弱点をカバーする様な加工製作の作例を掲載するのはいくつか見られます。

 そもそも本書は模型販売用のカタログではありませんし、宮沢のEF55が個性的なモデルだという事は解説文でも暗に示されていますから、これを持っているユーザーにとっては加工の指針くらいにはなったのではないかと思います。
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 参考として今回のモデルを最新のアップデートであるKATOの55と並べてみると如何に個性的かお判りいただけるのではないかと。
 同じ形式の機関車が2両繋がっている筈なのにまるで別の機関車に見えてしまう所が凄い(笑)

 とはいえ、これがリリースされた当時はEF55のために専用の動力と足回りを設計するのは非常に困難でしたし(現に本書に掲載されているワールドの初代モデルの写真も足周りはKATOのEF57ベースの模様です)限定品とはいえ量産モデルを既製品動力で製品化しようとしたら、当時もっとも入手しやすかったであろうTOMIXのEF58を使い、ベースモデルの寸法に合わせてストレッチした車体を作る方が確実かつ現実的なやり方であったろうと思います。

 そう思えばこのモデルは、その後当のワールド工芸をはじめ、マイクロエースやKATOの手によってアップデートされ続けたNゲージのEF55の進化の過程を偲ばせる一種のミッシングリンクのような物ではないでしょうか。

 確かにプロポーションはあれですが、先述した様に248Rのカーブはクリアしますし、走行性も悪くはありませんから。
(ただ、先頭部の造形は幾分ラフでして他社の3モデルよりも先頭部の丸みが弱く、ボンネットの中央部は丸いのに両肩は直線的に削り落とした様なアンバランスさを感じます)

 ・・・とか堅苦しい話はそれくらいにして。

 今回の55でどうしても一番気になってしまうのが「ピカピカ光る先輪(笑)なのは間違いありません。本の中で松本氏がやった様に私もここだけは何とかしたいと思いました。
 でも、手持ちのパーツにスポーク車輪はないし、さてどうしようかと思った時ふとひらめいたこと(爆笑)
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 一昨年辺りに足回りのダイカスト崩壊を起こしバラバラになった某メーカーのEF56。

 ダイカストはばらばらというか粉々にはなってしまいましたが、プラ製の台車とデッキは無事にサルベージされていました。宮沢よりも時代が新しいモデルなのでデッキの先輪も当然スポークの黒染め車輪です。
 これを今回のEF55に使ってみたところぴったりとはまりましたし走行性にも影響はありませんでした。
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 で、
 ついでにあの間が抜けて見える平妻側の1軸の先台車も元のEF58と同様に2軸化してしまいました(先台車のくぼみにワンタッチではめ込めます)
 真横から見た感じはむしろこの方がバランスがいい位です。
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 スケール性を気にするならそれこそKATOやワールド工芸の3代目以降のモデルが製品化されていますし、たまにはこういう変わり種のEF55が1両ぐらいいてもいいだろうという気分にはなります(大爆笑)
 まあ、強いて言えば実車が存在しない「幻のEF55の4号機」という事にしても面白そうですしw

 せっかく急カーブをクリアできるのだから下手に腰を落とす必要もないでしょう。
 例えば今度のクラブの運転会でこっそり走らせてみて「正体を見破るメンバーが何人居るか」試してみるなんて意地悪な使い方もあります(余談ですがクラブのメンバー間ではマイクロとKATOのEF55の普及率は割と高いですw)

光山鉄道管理局
 HPです。


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この記事へのコメント

匿名希望
2024年10月18日 08:28
「考古学」の個体は一軸台車の車輪を元の2軸の前側に嵌めてますね。
それだけでもずいぶん印象が変わります。
光山市交通局
2024年10月20日 21:19
>匿名希望さん

これの購入当初は二軸の後側に車軸があったのですが、そのせいでカプラーが垂れ下がってしまい、走行中にカプラーの自然開放が頻発しました。

おそらく「考古学」の状態の方が正しかったのではないかと思いますが、今回は後台車をベースとなったEF58同様の二軸にしたことで走行性かななり安定しています。