鉄道ミステリとテツドウモケイのはなし45「グリーン車の子供」と0系新幹線
鉄道ミステリとテツドウモケイの0系新幹線ネタ。
もう一本だけお付き合い願います。
今回紹介するのはカッパノベルズ版鮎川哲也編「見えない機関車」所収の戸板康二作「グリーン車の子供」
本作は歌舞伎界の名優、中村雅楽が難事件を前に推理の冴えを見せる連作短編シリーズ(中には中村勘三郎主演でドラマ化されたものもあります)のひとつ。
というのが大まかなストーリーですが、この話ほどあらすじをかいつまむのが難しい話はありません。
元が短編なのと雅楽の背景や乗車までのいきさつまで語ってしまうとネタバレになりかねない(おまけに派手な事件が全くない)のですから。
本作には殺人どころか犯罪行為自体が登場しないにもかかわらず、作中にヒントや伏線が張りめぐらされ、読者もきちんと推理すれば予定された解決にたどり着けるフェアプレイ精神(何しろタイトルまでもがヒントになっている!)あふれる「本格ミステリのお手本」と言われた名短編とされています。
発表当時は横溝正史をはじめ土屋隆夫、中島河太郎、佐野洋、島田一男などが激賞した一篇でもありました。本アンソロジー編者の鮎川哲也もそのひとりです。
(謎の人物の正体を指摘するだけなら大概の読者にも可能でしょうが「その根拠を筋道立てて指摘しなければ正解にはならない」という点でも本格推理の定石に沿った造りであるといえます)
事件性のない謎解きの推理小説というと、かの江戸川乱歩が戦時中の探偵小説禁制期に書いた「知恵の一太郎シリーズ」などが挙げられますが、事件物としての刺激が少ない分より本格的な推理物としての構成が要求されるらしく、意外と面白い話が多いジャンルと思います(前に紹介した「森林鉄道みやま号」もそうした一編と言えます)
さて、今回はミステリとしてもかなりの変化球と思いましたのでネタに使う0系もまた変化球で行ってみようかと。
20年近く前でしたか、小学館から大人のホビー誌ともいえる「ラピタ」という雑誌が刊行されていた事があります。
毎回特集される題材の広さと、それに負けないディープさが特徴の雑誌で、テツドウモケイの特集も2,3回取り上げられていた事がありました。
で、その「ラピタ」のある号で付録として付いてきたのが「世界最小の鉄道模型」と称する「試作1000系A編成の超ミニモデル」でした。
確かボタン電池駆動でプラの線路を自走できるものでエンドレスの半欠け位の線路も付属していたと思います。
4ミリか5ミリゲージではなかったかと思いますが「世界最小」の売りもあとからTゲージが出てきたので事実上薄いものでしたが。
ただ、このモデルは車両が1両しかなかったので「もの凄く小さい模型が走ったのをただ喜ぶ」という以上のものではなく、私も購入後はしばらく忘れていたものでした。
その数年後位に地元の中古ショップでジャンク扱いでエンドレス一個分のレールと「0系大窓車3両編成」のモデルを見つけましたが、同じ規格でありながらこのモデルと「ラピタ」との関連はよくわかりません。
(あとから別売りしていた?)
実はまだこれらを走らせていないので性能のほどはわかりませんが、使えるのなら「レイアウト内のイベントでミニ列車として走らせてみる」のも面白いかもしれません(とか言いつつZショーティのE5系が鉄博モジュールですでに活躍中ですが汗)
最後に余談
学研、プラッツ、アシェットと当鉄道で0系のモケイの数だけはだいぶ増えたのですが、その中でグリーン車はエンドウの0系に15形が1両あるきりです。小窓仕様の強みで普通車よりも微妙に窓のピッチが広いのがグリーン車らしさを感じさせる一品と言えます。
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今回紹介するのはカッパノベルズ版鮎川哲也編「見えない機関車」所収の戸板康二作「グリーン車の子供」
本作は歌舞伎界の名優、中村雅楽が難事件を前に推理の冴えを見せる連作短編シリーズ(中には中村勘三郎主演でドラマ化されたものもあります)のひとつ。
ある夏の朝、法要の帰りに新幹線のグリーン車で東京に帰る途中の雅楽と竹野記者(ワトソン役です)は乗車直後に乗り込んできた中年男性から連れの娘をひとりで東京まで送るので面倒を見てほしいと依頼される。
その子は小学生くらいの無口な少女だったが、時折見せる仕草や行動に謎めいたところがあり、雅楽は不審の念を抱き始める。
子供の正体は何者か?雅楽に接近して来た意図は何だったのか?
というのが大まかなストーリーですが、この話ほどあらすじをかいつまむのが難しい話はありません。
元が短編なのと雅楽の背景や乗車までのいきさつまで語ってしまうとネタバレになりかねない(おまけに派手な事件が全くない)のですから。
本作には殺人どころか犯罪行為自体が登場しないにもかかわらず、作中にヒントや伏線が張りめぐらされ、読者もきちんと推理すれば予定された解決にたどり着けるフェアプレイ精神(何しろタイトルまでもがヒントになっている!)あふれる「本格ミステリのお手本」と言われた名短編とされています。
発表当時は横溝正史をはじめ土屋隆夫、中島河太郎、佐野洋、島田一男などが激賞した一篇でもありました。本アンソロジー編者の鮎川哲也もそのひとりです。
(謎の人物の正体を指摘するだけなら大概の読者にも可能でしょうが「その根拠を筋道立てて指摘しなければ正解にはならない」という点でも本格推理の定石に沿った造りであるといえます)
事件性のない謎解きの推理小説というと、かの江戸川乱歩が戦時中の探偵小説禁制期に書いた「知恵の一太郎シリーズ」などが挙げられますが、事件物としての刺激が少ない分より本格的な推理物としての構成が要求されるらしく、意外と面白い話が多いジャンルと思います(前に紹介した「森林鉄道みやま号」もそうした一編と言えます)
さて、今回はミステリとしてもかなりの変化球と思いましたのでネタに使う0系もまた変化球で行ってみようかと。
20年近く前でしたか、小学館から大人のホビー誌ともいえる「ラピタ」という雑誌が刊行されていた事があります。
毎回特集される題材の広さと、それに負けないディープさが特徴の雑誌で、テツドウモケイの特集も2,3回取り上げられていた事がありました。
で、その「ラピタ」のある号で付録として付いてきたのが「世界最小の鉄道模型」と称する「試作1000系A編成の超ミニモデル」でした。
確かボタン電池駆動でプラの線路を自走できるものでエンドレスの半欠け位の線路も付属していたと思います。
4ミリか5ミリゲージではなかったかと思いますが「世界最小」の売りもあとからTゲージが出てきたので事実上薄いものでしたが。
ただ、このモデルは車両が1両しかなかったので「もの凄く小さい模型が走ったのをただ喜ぶ」という以上のものではなく、私も購入後はしばらく忘れていたものでした。
その数年後位に地元の中古ショップでジャンク扱いでエンドレス一個分のレールと「0系大窓車3両編成」のモデルを見つけましたが、同じ規格でありながらこのモデルと「ラピタ」との関連はよくわかりません。
(あとから別売りしていた?)
実はまだこれらを走らせていないので性能のほどはわかりませんが、使えるのなら「レイアウト内のイベントでミニ列車として走らせてみる」のも面白いかもしれません(とか言いつつZショーティのE5系が鉄博モジュールですでに活躍中ですが汗)
最後に余談
学研、プラッツ、アシェットと当鉄道で0系のモケイの数だけはだいぶ増えたのですが、その中でグリーン車はエンドウの0系に15形が1両あるきりです。小窓仕様の強みで普通車よりも微妙に窓のピッチが広いのがグリーン車らしさを感じさせる一品と言えます。
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この記事へのコメント
世界最小の鉄道模型として紹介しているRM MODELSの記事を読んだ記憶があるのでそれに該当すると考えます。
Zゲージならロクハンが出してますが、Tゲージであれば音沙汰ありませんので現状についてははっきりしてないです。
>さいとう たいいちさん
>
わたしの所属するクラブのメンバーでTゲージをモジュールに組み込んでいる方がいるのですが、それを見る限りでは今回の0系よりも小さいサイズの様です。
あのゲージは実物を見ると「これが自走するのか疑わしい」くらいの小ささなのですが意外に走りが元気が良いのが印象的でした。
発売当時「世界最小の自走式鉄道模型」を謳っており0系の他にも新幹線やJR型特急など色々な車種がラインナップにありました。
ラピタの付録の1000型は何気に専用品でその後の一般販売はなかったと記憶しています。
話変わりますが、事件性のない謎解きの推理小説ですと少年向けの作品(知恵の一太郎シリーズもそれです)にいくつかありますが、乱歩や正史の初期作品で明らかに大人向けでも「全部イタズラでした」というオチの物がちょこちょこ存在します。
(イタズラを犯罪とすれば別ですが・・・)
そして大変珍しい「少年物」「イタズラオチ」を両方抜いた上で、なおかつ事件性がないという短編(ギリギリ鉄道要素もあり)ですと横溝正史の「災難」(1926年)を知っております。
あらすじ、
田舎から上坂している男に幼馴染の娘が訪ねてくるのだが、手紙に書かれて日時に大阪駅に迎えに行ったら別人を間違えて連れて行ってしまい(これが原因で騒ぎが起こるが省略)後日本物に怒られた。
「手紙にあった日時通りに、手紙にあった大阪駅に来たのになぜ?」←ここが問題。
幼馴染の娘も男も一切悪意などはありません。
>Citronさん
>
なるほど、ZZトレインですか。情報ありがとうございます。
ラピタの1000型仕様が1種類だけというのは少し残念ですね。
>「全部イタズラでした」~
乱歩では「赤い部屋」なんかが該当しますね。戦前の作を中心にいたずら、または創作オチは結構あった様ですが、主人公の破滅を予感させるペシミスティックさとは無縁な長閑さを感じさせるオチという点では個人的には好きだったりします(笑)
横溝正史の「災難」は未読ですが如何にも魅力的な内容ですね、何とかして探してみます。
>横溝正史の「災難」は未読ですが如何にも魅力的な内容ですね、何とかして探してみます。
補足しますと、この話は角川文庫の『恐るべき四月馬鹿』や柏書房『横溝正史ミステリ短篇コレクション1 恐ろしき四月馬鹿』に収録されています。
既に他の方が書かれていますが,この「ラピタ」版1000形A編成は,後のバンダイ・ZZトレインの元になった製品です。「ラピタ」の方は,いのうえ・こーいち氏監修で,トレーラーと一周分の線路は,別途通販で購入する必要がありましたが,神保町の書泉グランデなどでは普通に販売されていました。
ZZトレインの方は,ラピタと概ね同規格で(線路の接続部などが微妙に違う),ブラインド販売版とオープンパッケージのセット版があったと記憶しています。0系のほか,800系やE3系,485系,E231系などがあったと思います。
当時,ネコ・パブリッシングの「鉄道おもちゃ」(現・鉄おも)誌では,ZJゲージやZZトレイン,TゲージをまとめてU9(アンダーナイン)規格として紹介していたことが懐かしく思い出されます。
>レサレサさん
>
情報ありがとうございます。
探すときの手がかりがあると大いに助かります。
>高志国太郎さん
>
情報ありがとうございます。
言われてみればZZトレインというアイテムは当時そこここで見たような記憶はありますね。今回のモデルとリンクして思い出せなかったのは冷や汗ものです。
「鉄おも」誌上で「U9」と呼ばれるカテゴリ、TMSやとれいんでは半ば無視されていましたが「ラピタ」では割合積極的に取り上げられていて新規格に対する両社の温度差の様なものは感じられましたね。