ワールド工芸の思い出と廃業の衝撃

先日明らかにされたワールド工芸廃業のニュースはわたし的にも青天の霹靂ともいうべき衝撃でした。
鉄道模型、殊にNゲージの世界で単に集める。走らせると云うばかりでなくブラスモデルの工作という側面からこの趣味の厚みと広がりを与えてきた点でこのメーカーの存在は大きなものがあったと思います。
そのワールド工芸の廃業は、ビギナーの中の「今は無理でもいつかは」という夢を与えて来た存在の消滅をも意味しているかもしれません。
かつてわたしがこの趣味を再開した当時でもワールド工芸は「雲上のブランド」とも云うべきステイタスを持っていました。
ですから余程のお金持ちか技量があるかでないと、製品を手にできないと長い事思って来た物です(汗)

初めてここのモデルを入手したのは10年以上前、帰省の折に故郷のショップで見つけたクモル23。当時のNゲージで「自走できる無蓋電車」というのはそれだけで食指の動く存在でしたからお値段にも拘らず手を出してしまったものです。

それがきっかけとなり、中古モデルを中心にワールドのモデルが徐々に増備されました。
ラインナップは電気機関車が主でしたが、当時ラインナップが手薄だったデッキ付き電機の拡充においても、このメーカーの存在意義は大きかったと思います。
中でも秩父鉄道のデキ108(元松尾鉱山鉄道のED502)はワールドでなければNゲージモデルが出なかったでしょう。未だにわたしの宝物のひとつです。


前述の様に微細なはんだ付けを要するブラスモデルには手を出せませんでしたが、のちにリリースされたABS樹脂と金属パーツのハイブリッドモデルのキットはわたしの琴線を刺激するものが多く、改めて作る模型の楽しさを再認識させてくれました。
弘南鉄道ED22やクモヤ22001などもまた印象深いモデルです。
(先日紹介したTOMIXのDD200。これなんかも手すり周りの繊細さを思うと案外ワールド向きの素材だった気がします)


蒸機モデルはごく初期のD52、C55流改のみですが、いずれもNゲージの蒸気機関車の新時代を切り拓いたエポックメイキングだったと思います(前者はKATOの足回りを使ったボディキット、後者は完成品モデルとしては同社の第1号だったと記憶してます)
このふたつを基礎に、更にアップデートを重ねた蒸気機関車のラインナップ拡充が続いてきた事は、皆様もご存知の事と思います。
今回の廃業の裏にはさまざまな要素があった事は推察されますし、それでも残念な思いもまた強いのも確かです。
ただ、存在しているだけで夢をかき立てられるメーカーというのもそうあるものではないでしょうから。
できるならこのメーカーの事業の一部なりとも継承してくれるところが現れてくれると良いのですが。
光山鉄道管理局
HPです。

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この記事へのコメント
私鉄の機関車はどこのメーカーもやらないので、出してもらっただけでも感謝している次第です。秩父の機関車はマイクロエース製品と伍して専用の石灰石列車を牽引してます。
しなのマイクロはアリイが引き継いでマイクロエース製品になっているのは百も承知です。それ以外で「引き継いでいるメーカーはありますか?」というなら下記の通りです。
フクシマ
シノハラ
この2社はMODELS IMONが引き継いでますが、価格は上昇してます。
キングスホビー
はアルモデルの中で活動中です。
会社で働く仲間の話では「後継者または企業が見つかりませんという理由で閉店または業務終了になる会社が日本中どこでもある」ということで、ただごとではなくなりました。販売店の閉店はよくありますがメーカー自体がなくなることが急速に進んでいることは、ニーズの変化が早くなったことが影響しているかもしれません。
有限会社「ワールド工芸」が、生産停止(事実上の廃業)になってしまうとは考えもしなかっただけに非常に残念です。
キットを組み立てる技量が無いため、少々高額ではありましたが、幾つかの「塗装済み完成品」を購入したことがあります。
中でも一番のお気に入りは、ワールド工芸の塗装済み完成品の小さな蒸気機関車(Nゲージ(9㎜:1/150scale))です。
金属製ですが、非常に細部まで造り上げられた蒸気機関車でして、過去のトレインフェスタでも公開したことがあります。
今年のフェスタにも公開運転してみようかと考えております。
ワールド工芸のラインナップはメジャーメーカーが目を付けない私鉄電機や旧型電機、それもかなりマイナーな機種が多いので存在自体が非常に有り難かったです。
(たとえ高くて買えなくても「いつかは」という希望を与えてくれただけでも)
後半の部分についてはわたしもその通りと思います。
殊、趣味性の高い製品を出しているメーカーの場合、後継者難で廃業するケースは多く、しかも近年は増加傾向ですね。
趣味性の高さから支持者が多いとは言っても、それらの無形資産を受け継ぐだけの修行と技量を備えた後継者を得る事は、非常に難しいと思います。
昔の様な徒弟制度が今のご時世で通用するとは思えませんし。
蒸気機関車のキットであれだけの種類をコンスタントに出し続けてきたというだけでもワールドの存在は大きかったですね。
わたしも1両くらいは作りたかったです。
一方でABSのボディにエッチングパーツを組み合わせ、台車にモータを内蔵させたハイブリッドキットもワールドらしいキットとしてもっと評価されていいと思います(流石にこちらは何両か作りましたがw)
そういえば、ワールド工芸の最初の独立系式の蒸機はダミー仕様のB20でしたっけか?
元々小型蒸機の方面でも色々挑戦的な企画が多かったメーカーでしたね。
そちらのコメントで思い出しましたが(笑)わたしも昨年のグランシップではSL銀河の先頭にワールドのD52を仕立てた事がありました。
(路盤不良でTOMIXのC58が立ち往生したための代打でしたが汗)
今年のフェスタ、楽しみにしています!
プラの量販品も高くはなりましたが、其れでも金属モデルよりは遥かに安価ですから…
返事が遅くなりすみませんでした。
金属モデルのメリットの一つは高価な金型を必要としないのでプラ成形品よりも小回りの利く商品展開が可能と言うのがありました。
尤も、最近ではプラ製品でも特定番号機なんかがモデル化され始めていますが。
反面でどうしてもハンドメイドに近い行程を要求されるため完成品が高価になりがちな事、職人の確保が難しくなっていた事が今回の廃業の遠因ではなかったかと思います。
工作派のファンにとってはキットが出ない事が痛手でしょうね。