鉄道ミステリとNゲージ・46「ある騎士の物語」

 久しぶりの鉄道ミステリと鉄道模型ネタから。
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 今回は先日購入したアンソロジー「悲劇への特急券」所収の島田荘司作「ある騎士の物語」から

 「探偵趣味の占星術師」というか「探偵趣味の脳科学者」の御手洗潔シリーズの一作として発表された鉄道ミステリの短編です。

 シリーズの語り部兼ワトソン役の石岡の知人で大学の先輩、秋元静香の結婚式の席上で聞かされた15年前の殺人事件の話を御手洗に相談する所から始まります。
 静香の恋人、藤堂を含む五人の男子大学生が始めたバイク便のベンチャービジネスが軌道に乗り、呼び寄せられた彼女の弟を含む七人で順風満帆だったが突然の東堂の裏切りによる弟の死と会社の清算という事態が発生。
 藤堂はそのまま失踪したが彼を憎む静香はその執念で彼の居所を掴み、復讐のための拳銃まで用意したが、突然の大雪の為に待ち合わせ場所にゆく事が出来ないまま悔しさの中、深夜の雪の中を彷徨する。
 彼女の身を案じた四人の仲間は街を駆けずり回りようやく彼女を保護したが、その同時刻、そこから15キロ離れた所沢で東堂の射殺体が発見される。
 その時間帯は終電も過ぎ、折からの雪で車はおろかバイクや自転車での移動も困難。
 静香はもとより仲間の四人の誰もが現場への往復が不可能であることが判明していた。
 だが、石岡から事のあらましを聞いた御手洗はたちどころに犯人とトリックを見抜く。そして彼女を女神と崇める四人の男性たちの慕情と決意の心理を悟り、静香を諭そうとするのだったが・・・

かいつまむのが難しかったですが大雑把にいうとこんなストーリーです。

 本作が上梓されたのは平成元年ですが、事件の設定は15年前の昭和49(1974)年。
 舞台は当時開通したての武蔵野線沿線という設定です。
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 この武蔵野線ですが、わたしにとってはここ1、2年で急速になじみになっている線区でして、大月から盛岡への帰省の折、立川で「あずさ」を降ろされ、大宮にゆく為に西国分寺から武蔵浦和まで引き摺り回してくださる(しかも混み具合は中央線と変わらない)ありがたい線区として定着しつつあります(笑)

 開通当時は専ら101系1000番台が使われていたそうですが、わたしの手持ちの101系は鉄コレの0番代しかないので写真はそれを代用しています。
(以下はネタバレになるので出来れば原作を読んでから読んでいただけると有り難いですw)

 今回のトリックの眼目は「終電後の時間に、雪という障害がありながら短時間で殺害現場まで往復する方法」にある訳ですが、舞台となる西国分寺〜東所沢間の環境条件を利用し、当時は珍しかった乗り物を使った点が見せどころと思います。
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 トリックに使われた乗り物は今のNゲージスケールでは製品化されていないと思うのですが、今回の記事写真ではこれとよく似た形状のものとして2、3年前に当ブログで紹介したすずめ模型さんの「軌道自転車」を代用させていただきました(爆笑)

 (現実にはこのトリックには致命的な弱点があると思うので、特に現代では実行は難しいと思います)
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 とはいえ本作の眼目は静香を取り巻き、それぞれが彼女を護るべき存在と自覚した四人の騎士たち(犯人もその中の一人)のいじましい慕情と一途さを薄々感じながら看過してしまう静香の無意識の冷酷さを御手洗が断じるところにあると思われ、ミステリというよりも喪われた青春のバラードという肌触りを持つ一編と思います。

光山鉄道管理局
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この記事へのコメント

匿名希望
2025年09月02日 00:59
非冷房ですので101系は4両セットのものだと思いますが、これ編成内容が謎ですよね。
中央線の101系は3+7編成でしたのでセットのような4両は存在しなかったようなのです。
買い足しても10両フル編成にはできない車種構成ですし、どういう遊び方を想定していたのでしょうか?
(サハを抜いて3連が現実的でしょうか)
光山市交通局
2025年09月03日 21:58
>匿名希望さん
 
 101系は鉄コレとKATO、マイクロエースで競作になっている様ですが武蔵野線仕様はKATOの101系用の行先幕が単品で製品化されている程度の様ですね。
 
 ご指摘の通り鉄コレの編成仕様は謎としか言いようがないですが、運転するときには割り切って使っています(できれば10連編成の仕様が出てくれればいいのですが)