帰省の一冊「英国鉄道物語」
先日の3回目の帰省は、観光目的ではなかったので買い物も最小限。模型の方もほとんど手を出しませんでした(まあ、帰省の理由が理由なのでそれが本来当然なのですが)
ただ、所用の合間を縫って「古本屋を何軒か回れた」のが買い物らしい買い物とは言えます。
盛岡という場所は街中や商店街に個人経営の古本屋があるケースが意外と多いので、バスや徒歩での移動が中心だとそのメリットが生かせます(むしろマイカーだと駐車場探しに難儀するうえに意外と歩かされることも多い)
それに本なら寝る前のホテルとか帰りの電車の中でも割合纏まって読めるメリットもあります。
で、今回も何冊か買ってきたのですが、その中で一番読みでがあったのが「英国鉄道物語」(小池滋 著 晶文社)でした。
これなどは上記の様な「電車帰省で買う本の条件」をよく満たした一冊です。
何しろ纏まった厚さで、図版よりも活字で読ませるタイプの本なので電車読みには好適です。実は最初店頭で本書を取った時「分厚いし活字が多そうだな」と一瞬敬遠しかけたのですが、数ページ立ち読みしていたら意外に引き込まれる内容で、気が付いたらレジのおばあちゃんの前に(汗)
結果的にですが、今回の帰省の収穫のひとつだったと言えます。
海外の鉄道史なんて自分が興味を向けるフックが少ないがゆえに敬遠しがちだったのですが、そこは何と言っても営業鉄道発祥の地の英国。
線路の敷設や車両の製造、ゲージの設定に至るまですべてが試行錯誤の連続であるゆえに、あらゆるエピソードが新鮮かつ面白くそこだけでも引き込まれます。
特に「世界初故に当初は『蒸気機関車で運用しなければならなかった』ロンドンの地下鉄」のエピソード、国鉄が存在しなかったが故に複数の鉄道会社がシティの周縁部にいくつものターミナルを作らなければならなかったロンドンの鉄道事情なんかは本書の白眉と言っていいでしょう。
そして本書ならではの特徴は「鉄道が新時代のシンボル」だったが故の現象として文学作品に鉄道が絡む事が増え、あらゆる文豪が各自の視点とスタンスで鉄道を語る様になった過程を描いた第一章「イギリスの鉄道の発達と文学」
やや時代が下がって鉄道の発達と普及に伴い爆発的に支持を広げた「探偵小説」を題材にした第四章「鉄道と推理小説」です。
イギリス特有の事情が探偵小説の普及に大きな役割を果たしてきたというのは目から鱗でしたし、同じ探偵小説ジャンルでも日本ではダイヤグラムトリック中心なのにイギリスでは密室殺人と失踪ネタが多い理由も新鮮に感じられました。ここだけでも本書を買った甲斐があったというものですw
(でも本書の初版は「ガンダム」や「金八先生」「アニメのドラえもん」と同じ1979年なんですよね。そんな古本を読んで「新鮮」を感じるわたしも大概ですが)
おかげで帰りの新幹線の車内を楽しく過ごせたのは間違いありません。
ところで、往路は往路でもっとボリュームのある本を愉しんだのですが、それについては次の機会に。
光山鉄道管理局
HPです。
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この記事へのコメント
シャーロック・ホームズの「ブルース・パーティントン設計書」にこの蒸気機関車の地下鉄が出てくるのですが、蒸気機関車が走るので「(近くの窓枠が)分厚い煤に覆われてた」という記述があるのを思い出しました(これが事件のヒントになっている)。
翻訳によっては訳者が蒸気機関車の地下鉄という発想に至らなかったのか「It was thickly coated with soot from the passing engines,」という原文を線路際にある据え付け式の蒸気機関から流れてきた煙で汚れているような趣旨にしてしまった珍訳もあったりします。
そう言えば「第一号」だったゆえに気にしてこなかったですが、地下鉄で蒸気機関車の営業運転をしていたのは事実上ロンドンだけだったと思うので訳者が勘違いしやすいのはあるでしょうね。
(二番目に開業のブタペストは電車、イスタンブールは索道輸送だった様です)
因みにわたしの持っていた「世界の事始め本」でもロンドン地下鉄に触れた項目がありましたが「出発前に熱い湯を入れ、その蒸気の力で地下を走り抜ける」なんてことが書かれていました。
おそらく掘割区間で蒸気圧を上げ地下は可能な鍵り絶気運転する過程を筆者が無火機関車みたいに解釈してしまったのではないかと思います。