「鉄道トラブル巻き込まれの記」

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 先日の静岡行きの戦利品のひとつの古本から。

 趣味にせよ実用にせよ、人生の中で一定の頻度で鉄道を利用しているとその間には何かしらトラブルに出会うものです。
 わたしなんかは乗り鉄さんのような高頻度での利用こそないですが、帰省で新幹線と在来線乗り継ぎをしたり、上京のたびに電車を使うので何回かに一度は「遅延」「運休」「乗り継ぎの失敗」に当たります。
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(2019年暮れの新幹線遅延時の東京駅)

 ポイント故障で特急が1時間55分遅れとか(特急券払い戻しぎりぎりw)大雪の運休で山手線の大塚から池袋まで時ならぬ雪道をおろしたての革靴で歩く羽目になったとか。個人的に一番あれだったのはE351で甲府に向かう最中に「先行のあずさが衝突事故で脱線転覆」した事でしょうか。

 そんな「列車の遅延や運休に巻き込まれた側の立場から一冊まとめた本」というのには寡聞にしてこれまで出会った事がありませんでした。
 ましてや、曲がりなりにも鉄道ファンとしての視点から書かれた物ともなると猶更だった訳です。

 先日の静岡行きで某駿●屋の古本コーナーで拾ったのがそんな一冊でした。
 その名も「鉄道トラブル巻き込まれの記」(雑喉 謙 著 文芸社)

 昭和6年生まれで建設会社に勤務し(趣味としての鉄道旅行のほかに)仕事の性格上、全国を鉄道で出張されていた事から災害、事故、故障、ストライキとあらゆる形の列車の遅延・運休に遭遇しており、その時の体験をなんと50本以上羅列したという労作です。

 0系時代の新幹線は結構よく故障していましたし、国鉄時代は鉄道ストとか順法闘争なる今の感覚では意味不明にしか見えない意図的遅延もよくあったものです。
 ゲリラ事件で首都圏の電車が止まった時はたまたま東京に在住していたのでその影響の大きさに驚いた事もありました。
 これらは最近ではなかなか聞かない遅延理由ですが、本書でもかなりの頁がそれらに割かれています。

(しかも本書のは戦後に限ったものだそうで戦中の体験も別個に上梓されているとの事)

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 出版時期が2011年なので東日本大震災までが取り上げられていますが、本書の本書たるゆえんは列車の乗り継ぎを前提とした出張や旅行で遅延が発生した時の筆者の対処の思考プロセスに重点が置かれているところです。

 前の列車が止まって乗り継ぎが出来なくなった時、どんな代替ルートを選ぶか、別の列車が使えないかを限られた時間内にひねり出す事は制限時間付きのパズルの様な物です。普通の人だったら諦めるところを自分の知識やダイヤグラムの解釈を総動員して最小限のロスでクリアする過程は黄金期の鉄道ミステリの面白さに通じるところがあります。

 わたしが同じ立場だったら、とても筆者の様な訳にはいかなかったかもしれません(そう言えば、スマホを買うまで電車の帰省では最新のポケット時刻表を必ず持ち歩いていたのを思い出しました汗)
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(2022年の福島の大地震で脱線したE5系)

 昨年の電車帰省の時に実感しましたが、乗換検索アプリとえきねっとモバイルが登場した事で、こうしたトラブル時の対処は以前よりやりやすくなりました(特に通勤路線の普通電車のダイヤを検索できる威力は絶大。でも切符の振り替えで手数料を取られるのは汗)
 まあ、災害や大事故にでも出会うとお手上げですが、それでも以前より気楽に列車での移動がしやすくなっているのは確かです。

 とはいえ、先日の山手線の停電や常磐線の架線事故などの例からも、予想外の理由で列車が止まる事はいつでも起こり得ることですし、利用する側も心のどこかに心構えが必要とされている事には変わりありません。

 本書の作者のように頭を働かせるのは凡俗たる私にはちょっと無理かもしれないですが(汗)
 

光山鉄道管理局
 HPです。


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