S660で峠道をゆく

 車が彼の物になって、きょうで四日になる。彼はうわべは平然と、だが内心では恍惚に酔いしれて乗り回してきた。
 モードにはまだひとことも洩らしていない。四日の間、昼休みがくると、彼は愛車の扱い方をおそわった。彼は覚えの良い生徒であった。

 明日のクリスマスイブには、愛車を郊外へ連れ出すつもりだった。彼はモードに嘘をついたが、必要ならば、さらに嘘を繰り返す事だろう(中略)

 明日はこの恋人とふたりで出かけるのだ。身を切るように冷たい大気の中を突っ走り、ロンドンの脈動と焦燥をはるかあとにしてー広大で澄み切った大地へと・・・
 この瞬間、エドワードは自分ではきづいていなかったが、多分に詩人めいていた。

 (創元推理文庫・クリスティ短編全集2「エドワード・ロビンソンは男でござる」より引用)

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 私の現住地から東京へ行くには高速道路を使うと1時間弱。
 ですが高速を使わずに一般道を使うと軽く2時間はかかります。

 しかもこの一般道という奴は絵に描いたような山岳路。
 アップダウンや急カーブの連続な上に意外と大型トラックの交通量が多く、運転には神経を使う上に車高や重心の高いミニバンやSUVにとっては同乗者が酔い易いというおまけまでついてきて敬遠されがちなルートであります。
 
 乗り合わせでは高速代や駐車場代が割り勘にしやすいという事情もあって、これまで研修会や何やらで東京に行くときは8割がたの確率で高速を使う事が多いです。

 今回慣熟走行を兼ねたS660のドライブでは敢えてその一般道を使って東京に行ってみるという冒険をやらかしました。
 「痛快ハンドリングマシン」と云うコンセプトで設計され、ワインディングや峠道に特化した(その割に軽ゆえの非力さが付いてくるはずなのですが)S660の本領はこういう場でどれだけ発揮できるか。

 朝8時、屋根を外した完全オープン状態で自宅を出発です。

 登りでは6速MTは3速か4速がメインになります。
 S660の4速のギア比は1,16。以前乗っていたシャレードの4速は0.9前後で3速が1.2でしたから軽としては異例にローギアードといえます(ジムニーみたいなのは別として)

 これに割合低回転域から効き出すターボが組み合わされていますから4速メインでもそこそこ山道を流す走りは可能。3速だともう少し活発になります。
 S660の5速は幹線国道で60キロ前後で流す時用、6速は文字通り高速専用と見た方が良い様です。

 ワインディングの峠道では2速から4速を頻繁に使いまわして時にはゆっくり、時には意識的にややオーバースピード気味に突っ込んでみました。
 こうして運転してみて思うのは軽カーゆえに相対的に道幅が広く感じる事。
 最近の峠道はローリング族対策としてセンターラインの上に保護棒の列が並んでいる事が多く、自車線上のみでのライン取りを強いられることが多いのですがそういうシチュエーションでも軽カーだと余裕を持った動きが取れます。

 それに加えてS660の曲がりっぷりの安定していること!
 リバースループ並みの急カーブでも車体はみしりとも言いませんし、後輪もよく踏ん張ってくれている事を体感できます。
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 多少非力でもこの身の軽さは有難い物があります。5ナンバーサイズでもミニバンだと結構こういう道はストレスになりがちなのですがS660では逆にカーブが待ち遠しくなるくらいです。
 正に価値観の逆転(笑)

 もう一つ発見。

 スポーツカーでありながらS660は絶対的な速度は決して速くはないのですが、今回の運転は「遅く走っても十分楽しい」のです。
 登りのワインディングでギアを2速に落とし最大トルクの発生域を保ちながら回り込んでゆくところなぞはたとえそれが時速40キロであっても「クルマを操っている感満点」なのです。
 立ち上がりでアクセルを煽り加速するところなどはリズムに乗っているとワクワクしてきます。
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 背中から湧き上がるエンジンサウンドもこうなると心地いい。
 N-BOX用派生型エンジンでも排気系やターボチューンで少しでもスポーツカーっぽくしようと努力した開発陣の意気込みをダイレクトに感じさせます。
 マツダロードスター辺りに比べれば安っぽい事は安っぽいのですが軽カーとしては合格点ではないでしょうか。
 これなどは街乗り試乗ではわからなかった事のひとつです。

 もちろん出そうと思えば6000回転、時速60キロで突っ込むこともできるでしょう。ですがそうでなくてもMRゆえの操縦感覚は十二分に楽しめます。

 今回の往路は幌を取っ払ったオープン状態でしたが「これまで何十回と見ている筈の周りの景色が全く違って見える」ご利益も絶大でした。
 こんな真似は人目の多い街中ではまずできないですが、山岳風景がメインの田舎ゆえの特権でしょう。

 結果、走行時間は高速の2倍以上の片道2時間半。
 しかも遅いトラックなどの後をついて走るのがその半分近くを占めたのにも拘らずこれほど楽しいドライブが出来るとは思いませんでした。
 むしろ「もっと乗っていたい」とすら思えたほどです。
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 尤も、それは気分の上での話で、帰宅してみたら玄関先でいきなりおちょこになりました。
 身体面での疲労というか負担はそれなりに大きいようです。

 ですがそれでもS660の楽しさは私にとっては大きな魅力です。

光山鉄道管理局
 HPです。

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