鉄道ミステリとNゲージ・29「謀殺のチェスゲーム」と912

鉄道ミステリとNゲージネタ。
今回は割と長編で、しかもSFです。
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40年以上前に上梓された60~70年代SFの古典となっている田中正紀作「謀殺のチェスゲーム」を取り上げます。
この前後の時期は「日本沈没」の大ヒットのせいか「もしも●●だったら~」を題材にした擬似イベント型のSFが量産された時期で、設定があくまで当時の社会情勢や技術の延長で語られる文脈の物が多かった記憶があります。
それとこれまた当時流行の一種ハードボイルドな乾いた作風も特徴でしょうか。
「ホンダがレースに復帰する日」とか「戦国自衛隊」「復活の日」などがその代表格で映画になった作品も多かったですが実は本作も一時東宝が映画化を目論んでいたらしいです。

米中ソ連が国交断絶に等しい国際情勢となっていた1980年代、3国が踵を接する日本は戦略・外交に非常にデリケートな対応を迫られていた。
この難局を乗り切るために政治家でも軍人でもない、最高の頭脳を結集した新戦略専門家と言うセクションが防衛庁内に設置され日夜軍事・外交の両面から国際戦略の最前線に立っていた。

そんな折北海道でテスト飛行中だった最新鋭の特殊飛行艇PS-8が消息を絶ち、何者かの手によって強奪された事が判明する。
ポスト6次防の要で米中ソが目の色を変えてほしがる全身これ国家機密の塊ともいえるPSー8の奪還を指令された新戦略専門家チーム。

実はPS-8は開発メーカーを引きずりおろす為、ライバルメーカーとそこに雇われた元新戦略専門家・藤野によってひそかに強奪され、とある手段で北海道から東京に運ばれようとしていた。
新戦略専門家リーダーの宗像は今回の事件の影に藤野の存在を察知、PS-8の奪還のため日本全土を盤面とした壮大なチェスゲームの幕が上がるのだった。

と言うのが大まかなストーリーです。
PS-8は全高4メートルにも満たない特殊な構造のため主翼と尾翼を外せば意外に小さく格納できてしまうという特徴がありました。
そこに目を付けた藤野は(設定上)旭川から鹿児島まで複数の路線で列島を縦断しており、しかも国鉄のストライキで通常運行がない新幹線網を使ってPS-8を運搬する事を考え付くわけです。
「ディーゼルに引かれているのは新幹線電車じゃない。頑丈な貨車だ。もちろん外見は新幹線そっくりに偽装されているだろうが。故障列車を移動しているように見せかける必要があるからな」
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80年代の時点で当の新幹線自体盛岡までしか開通せず、しかも東京につながっていなかった現実を思うと、絵空事感が強い設定なのですが、書かれた当時としては精いっぱいのリアリティを表現しています。
(ついでに70年代のハードボイルドアクションものの文法にも忠実です)

新戦略専門家チームは当初トレーラーと船による移送ばかり考えていたために、新幹線の利用に気づくのが遅れたものの、東北地方を予想外の吹雪が襲った為に国道が閉鎖された事からターゲットの絞り込みに成功、戦闘ヘリで新幹線の追跡を開始します。
吹雪に気づいた藤野の側も青森から二線に分岐する新幹線に囮列車を紛れ込ませたり、同じく囮のトレーラーを大雪で封鎖された国道上を走らせて攪乱を狙います。

ここから先はほぼ全編がアクションと戦闘、新幹線を駒に使った詰め将棋的頭脳戦だけで構成されていていわゆる鉄道ファンが喜ぶようなミステリ要素は希薄になります。
とはいえ作中で新幹線の存在が大きなウェイトを占めているのは間違いないですし、クライマックス直前には列車のすり替えによるPS-8の消失トリックも一応登場します(笑)

さて、今回本作を取り上げたのは0系新幹線を出したかったからではありません。
故障車を装った0系に偽装した貨車を牽引する機関車にあります。

本作は田辺節夫の手になるコミカライズが当時掲載されておりそこに登場する0系を牽引しているのが912型ディーゼル機関車でした。
912形はDD13を標準軌に改軌した機関車で外見上はカラーリング以外DD13と大して変わりありません。
そのせいか昭和50年にトミーがDD13をモデル化した際に同時に912仕様も製品化していますし、最近もKATOがDD13をリリースした際に限定品で912塗装を出しています。
そして同じようにDD13を出しているマイクロエースでも912は出ていますが、実は標準軌用にオリジナルの台車を履かせているのはマイクロエースのモデルだけの様です。
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この912形、新幹線開業前後の時点までは形式名2003形と呼ばれる普通の国鉄カラーでますますDD13と見分けがつきません。
この2003形もマイクロエースが律儀に製品化しているのですが、これが出た当時DD13を探していた私が「似ていれば何でもいいや」とばかりに入線させた思い出がありますw
KATOやTOMIXがDD13をリニューアルするまではこのマイクロの仕様がDD13としてうちのレイアウトで活躍していたのですが、まさかこんな形で活用できる日が来ようとは。
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因みに実車の912形ですがDD13後期形をベースとした仕様は2010年代まで生き残り、現在はうち1両のボンネットが鉄道科学博物館で展示されています。

光山鉄道管理局
HPです。


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