鉄道ミステリとNゲージ 「信濃平発13時42分」と戸狩スキー2号

 久しぶりの鉄道ミステリとNゲージネタ
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 今回は徳間文庫の「トラベルミステリー⑤レールは囁く」所収の下条謙二作「信濃平発13時42分」から
 先ずざっくりと物語のアウトラインを紹介すると
 昭和50年の春、スキー客で賑わう長野駅の飯山線ホームに滑り込んだ「戸狩スキー2号」の車内で男性の刺殺体が発見される。
 
 被害者は信濃平の民宿で合宿中だった律教大学ミステリクラブのキャプテンであった事から、合宿に参加していた部員とOBに容疑が向けられた。
 部員に犯人がいないと信じている顧問の白井竜太郎教授は地元の探偵やクラブのマネージャーと共に事件の真相と犯人の解明に乗り出すのであった。


 内容は時刻表トリックの典型ですが、本作の特徴のひとつは「立教大学のミステリクラブの同人誌で基本的に部員のうちわ受けを狙って書かれた」と言う点にあります。
 ですので登場人物の殆どが実在の部員のもじりだそうですし、主人公の白井竜太郎は江戸川乱歩の子息の平井隆太郎氏(余談ですがそのご子息は「とれいん」のエリエイ代表取締役の平井憲太郎氏です)がモデル。
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 そのせいか殺人事件を題材にしているにもかかわらず、独特のからりとした雰囲気と部員たちのやり取りの描写が生き生きしているのが印象的でした。

 肝心の鉄道ミステリの部分ですが本作でのトリックでは被害者が乗っていた「戸狩スキー2号」の特徴が最大限に利用されています。
 (フェアプレー精神といいますか、冒頭の列車が入線してくる描写自体がトリック解明の伏線になっています)

 先日再読した機会に改めて調べてみたのですが戸狩スキー2号(戸狩スキー号)は飯山線をかつて走っていた季節列車でして、長野駅手前の豊野で妙高スキー2号に連結され一気に上野を目指す冬の看板列車のひとつでした。
 この列車、ネットで写真を検索するとデフ付のC12が牽引する3両編成の旧客列車ばかりがヒットします。
 白一色の雪景色を貫くタンク機と旧客のカラーのコントラストはどの写真を見ても様になりますし、編成自体がこじんまりとしていてレイアウト向けの編成と言えます。
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 尤も本作が書かれた頃は飯山線と言えどもSLは引退していますが、後継としてDD16が同じ編成を牽引していたようです。
 幸いと言いますかC12もDD16もKATOやマイクロが製品化していますし、スハ43系らしい客車も旧製品から容易にそろいますのでNゲージでこれを再現するのは比較的楽だと思います。

 但し写真の編成はこっそりオハ47が混じっていますが(汗)

 実はもう一つ本作で特徴なのが容疑者とされた部員全員が稀代のミステリ古本マニアであり、キャプテン殺害の動機も彼が所蔵している数千冊のミステリ稀覯書だったという事。
 それゆえに10人以上いる部員やOBの全員が御同様のコレクターであったため動機の点で容疑濃厚という奇抜な設定となっています(笑)
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 自らのコレクションの自慢とマウンティングに満ちた部員同士のやり取りは本作の中でも特に生き生きとしているところでして、私個人的にはここが一番好きな部分だったりします。
 ですが「容疑者全員が古本のためには盗みはおろか殺人すら厭わない」と言う設定はマニアの自虐性として笑い飛ばすのが正しい読み方と思います。

 尤も、この辺りは先日から考えているコレクターと工作ファンの違いについての示唆とヒントを与えてくれていますが(笑)

光山鉄道管理局
 HPです。


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