「小さなものへの愛情」に鉄道模型の魅力を考えるはなし

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 鉄道模型に限らず、ミニカーや文庫本など私の趣味を形作る嗜好の重要な要素のひとつに「ミニチュア」或いは「コンパクト」というキーワードがあります。
 (特撮物などのミニチュアワークものを好んで観るのもそうした性向の一つと言えるかもしれません)
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 それもただ小さいというだけではなく「小さいながらも密度が濃い」或いは「小さいなりに独特なキャラクター性を持つ」物に惹かれやすい傾向があります。
 改めて思うのですが、こうしたミニチュア志向に惹かれるのは何故か?
 これまでそうした本質的な要素について自分で改めて考えるということは殆どありませんでしたが、最近になってそうした考察の一助になりそうな本を入手したのをきっかけに自分なりに考えを求めてみようかと思います。

 その本というのは平成元年に静岡市土呂博物館の企画展のブックレットとして出版された「小さなものへの愛情」という一冊です。
実は本書の存在を知ったきっかけというのはある特撮物の本の中でミニチュア特撮に関連した随筆の一節で本書が取り上げられているのを知った事なのですが何分30年以上前の出版物なので出物になかなか当たる事がなく、今日まで経過してきたという経緯です。
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 とはいえ、本書で取り上げられているのは鉄道模型とかミニカーに関連したものはほとんど無く、博物館の性質上静岡県に古来から伝わる古墳のミニチュア出土品、雛形、郷土玩具、盆景に至る実物を縮小した民芸品がメインで、それに派生したグリコのおまけとかままごとセット、或いはソリッドモデルから始まる模型全般(そういえば静岡自体がホビーショーやグランシップでも知られる「模型の街」でもありますが)を交えて考察するという形式となっています。

 それらを読み進めていくとこうした実物の縮小イメージとしてのミニチュアの原点は石ころや木切れから実物のイメージを連想してゆく「見立て」から意図的に実物を縮小してゆく「雛形」へ、更に個別の道具からそれらの舞台となる「空間への縮小」という過程を経て進化している事がわかります(大雑把に言って「雛形」=雛祭りの雛具、「空間の縮小」がドールハウスから盆景に至る流れと捉えるとわかりやすい)

 そうした原点のひとつがままごと遊びであり、単なる道具の縮小から調理器具のミニチュア化、更には台所そのもののミニチュア化へと徐々にシステム化の流れを作っています(世界的な鉄道模型メーカーのメルクリンが元々ままごと玩具からスタートしている経緯も偶然ではないという事ですか)
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 それらの縮小された世界には「作り手の秩序と美学が反映され独特の別乾坤を構成している」物が多く、だからこそ後世の人が見ても何かしら感銘させるものが備わっているとも思います。

 これなどは鉄道模型に当てはめれば玩具から車両模型へ、更には車両の走る情景としてのレイアウトへの志向の変化として私の中で納得しやすいものでした。ですがその一方で玩具には玩具独自の感性と魅力もあり、必ずしも同じ進化のプロセスを辿るものでもないですが。
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 そして本書の巻末ではジオラマを例にとってミニチュアそれ自体が「過ぎ去りし物への憧憬」を呼び起こしやすい点、小さなものを手に取る時の恋しく、懐かしい感覚に繋がりやすいと説いています。小さな物に心を探りたがる感性(それはひとり日本人だけのものではないとも思えますが)が模型に対する嗜好の原点になっているのかもしれません。

 しかし、それは単に本書に書かれている様な「過去への郷愁」だけでなく作り手の心に潜む理想郷(或いは心の故郷)の具現化という側面も確かにあると思えます。
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 単に小さいからいいと言うのではなく、そこに何が凝縮され、何がカットされるかのセンスが現れるが故にミニチュアには特有の魅力がある。最近の専門誌のグラビアや博物館の細密模型の中にはこの種の「ただ小さいだけ」の縮小コピーが散見されますが本書に取り上げられているミニチュアにはそうした無味乾燥さがありません。
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 この辺りにも私が何故模型やミニチュア絡みの趣味を続けて来れているかのヒントがありそうな気もします(あと「私の中で何故KATOの最新モデルと40年前のエンドウ辺りのNゲージモデルが同列に評価できているか」という謎の答えにもw)

(写真は本題と直接の関係はありません)

光山鉄道管理局
 HPです。


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