「テツドウモケイを飾る」に思うこと3

 故・水野良太郎氏が「鉄道模型入門」という本でレイアウトの魅力の例えとして以下の様な話を書いたことがあります。
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 タタミや床の上にレールを敷いて走らせていたあなたは、一度それを
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 「テーブルの上にレールを置き、そこへ車両をのせて眺めてください」
 つまり、目の高さや目の位置に近づけて眺めるとどんなに実感的に見えるのかがよくわかるのだ。
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 「電柱を一本、ついでに小さな樹木や草花に見える様なのを、線路わきに置いてみてください」
 車両がより一層生き生きして見えるのは、それを囲む周囲の情景や環境などの雰囲気が具体的に見える時だという事がこうして眺めるとよく理解できるはずである。
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 「さらにレールをもう少し継ぎ足して、プラスチックで作った家屋を並べてみませんか」
 「簡単なプラットホームの様な台を置いてみてはどうですか」
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 「喫茶店やバーのマッチのラベルをはがし、裏に細い木で支柱を付け、立てかんばんを作り、それを線路わきに建ててみよう」
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 「ミニチュアカーを線路わきに並べてみよう」
(中略)
 そうした行動にかられることが、鉄道に対する意識の変革を物語っているのであって、タタミ=車両(幼児のオモチャ)次元からの脱皮をはじめるということになるのだ

(廣済堂 水野良太郎著「鉄道模型入門」131-132Pから引用)

 こうする事で単なる素立ちの車両だけの展示から「周囲の風景と一体化させることで車両までもが生き生きと見える」という効果が得られるという例えをわかりやすく表現した名文だと思います。これは走らせる事に限らず、飾る場合にも当てはまる事ではないかと思えるのです。

 なんで今になってこんなことを意識し始めているかというと、この春からのコロナ禍に伴う積みキット消化の過程で増えたペーパー建物の並べ替え遊びが上述の素朴な意味でのレイアウトの魅力を再認識させているように感じているからです。
 特に先日作ってみた線路のお立ち台(侍らせ台)を作ってからよりいっそうそれが実感されてきています。

 まあ、今回の私の場合は車両より先に建物ありきで進んできているのが異なりますが(笑)それでも出来上がったキットの一般建造物の手前に線路を敷き、車両を侍らせて(爆笑)並べてみると車両ばかりか建物の一軒一軒までもが急に生き生きと風景を彩っているのが実感できるのです。
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 車両だけを飾っても面白みを欠くのと同様に建物についても「それだけがぽつんとあっても面白くない」訳で、それらが同じ風景を構成する要素として機能した時初めて生きた情景になるのには感動すら覚えます。
 更に趣味違いでスケールの異なるミニカーなんかを手前に置いて眺めると強遠近法の効果で風景の中に入り込んだ様な効果すら得られます。

 写真でもその効果は解るのですが、これは実際の模型風景に頭を突っ込んで眺めると下手な3D映像よりも臨場感(ライブ感覚)が高いのを感じられます。
 ましてや鉄道模型の場合は「実際に線路の上を車両が自走できる」のですからこれが楽しくない訳がない!

 この半年、手持ちのモデルの組み合わせでそれをやってみるとレイアウトの魅力というものは案外簡単に表現(実現)可能なものではないかと思えるようになっています。

 従来私個人の感想として鉄道模型の車両を飾るなら16番以上のサイズという考えを持っていますし、基本それは変わっていないのですが、NやZゲージの場合「周りの一部分を切り取った情景と併せた車両展示」ならば意外といけるのではないかという考えも出てきています。
 これだと16番なら2両分のスペースで同じ2両でも風景込みの展示ができますし、空間の広がり感が得られるだけ訴求力も大きいのではないかと(この場合、車両を走らせる事にはそれほどこだわらなくてもいい気もしますし)

 これだけバーチャルリアリティだ3Dだと仮想体験が発達してくると仮想風景を建立する模型のレイアウトの存在意義が疑われがちなのですが、この独特のライブ感覚はバーチャルでは決して得られない性質のものです。
 写真や映像ではちゃちに見えるはずのものが現場で直接眺め、体感する事で「それがどうしたの?」と切り返せるくらいの魅力を見せてくれる事があります。
 (逆に写真ではリアルに見えていたモデルが実物を見ると幻滅するくらいに小さいことにショックを受ける場合もあります。これなどは写真・映像のトリック撮影的な性格も物を言っているのですが)
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 実を言いますとこれは私自身、レイアウトとそこで車両を走らせる事に拘っているうちに忘れかけていた部分でもあります。
 走らせるだけでない、車両や建物が魅力的に見える様な掲示、展示の大切さというものを今回のコロナ禍に伴う趣味の嗜好性の変化が教えてくれているようにも感じます。

光山鉄道管理局
 HPです。


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