鉄道ミステリとNゲージ その34「急行列車」と457系

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 久しぶりの鉄道ミステリとNゲージ(及び鉄道模型)ネタ
 今回は徳間書店版アンソロジー「殺意の終着点」から耕原俊介作「急行列車」を紹介します。
 列車の車内で2人の乗客が語り合う形の短編は結構ありますが、本作の2人は聞き手の学生と完全犯罪の殺人を成功させた犯人という取り合わせ。

毎日の無聊な生活に倦怠した僕は、故郷に向かう列車の中で前席に座った怪しげな男に激しい興味を覚える。その男は、過去に完璧なトリックで伯父を殺し、今乗ってるこの列車は、そのことに感づいた妻を殺害する為のアリバイに利用しているのだ、と話すのだった。
(上掲書111Pより引用)

 この冒頭の一節がこの短編の全てを語っています。
 本作は「僕」の出会った「男」の犯罪の告白のみならず、その「男」は「今現に乗っている列車上でリアルタイムに完全犯罪を遂行中」と言う二重の構造で語られます。
 これだけなら非常にスリリングかつ緊迫感あふれる展開になりそうなものですが「男」の語り口はあくまで淡々としていますし、聞き手の「僕」も人生に対する倦怠から「男」の持つ倦怠感あふれる語り口に引き込まれています。

 トリック自体はいわゆる「時刻表トリック」の典型で今となっては新味がないですし「男」の過去の殺人トリックはこれまた今となっては古典的と言える機械仕掛けの殺人パターンですが「僕」と「男」の間の言葉のキャッチボールの雰囲気は昼下がりに疾走する列車の車内が持つ独特のアンニュイな雰囲気と重なって独特な雰囲気を持ちます。
 実は本作にはラストに更にひっくり返しがありますがそれについてはここで書かない方が良いでしょう。
 今読み返すと「昭和50年代の急行列車」の雰囲気を思い起こしつつ読み流すのが一番ぴったりくる一編と思います。
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 さて本作の舞台となっているのは12時40分博多発15時51分大分着の「ゆのか3号」となっています。
 この列車についてネットで当時の写真を検索するとヒットするのが大概457系の急行型電車です。
 457系(或いは475系)は当時交流電化区間を走る急行電車の定番車でした。
 私も東北本線ではずいぶんお世話になっています。
 急行型と言うと都会では緑とオレンジの「湘南カラー」の165系とか153系が連想されると思いますが、サーモンピンクとアイボリーの組み合わせは地方に行くほどその比率が増えます。
 カラーリング自体は湘南色に比べると些か野暮ったさを感じさせますが、逆にその朴訥さは独特の魅力を感じさせます(あくまで個人的な印象ですが)
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 私の手持ちではKATOの奴がひと編成あるのですが、これを走らせると故郷の鉄路を走っていた急行電車のイメージ画像を結びます。

光山鉄道管理局
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