鉄道ミステリとNゲージ・番外編「まもなく電車が出現します」とオハ50

 手持ちの本がネタ切れでそろそろ打ち止めかなと思っていた「鉄道ミステリとNゲージ」

 そんなタイミングでネタが補充できたのは不思議ですw
 ただし今回は番外編的な位置付けになりますが。
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 これまで紹介してきたミステリは基本的に実車の鉄道を舞台にしたものばかりでしたが、このところ漫画のジャンルで「鉄道模型が題材の作品」がいくつかヒットできていますから小説のジャンルにもそういうのが無いかとチェックしていました。
 今回はそうしてヒットした一作から

 似鳥 鶏作「まもなく電車が出現します」(創元推理文庫)

 本作はいわゆる「学園ミステリ」のジャンルに属する連作の一つ。

 舞台はとある私立高校。
 文化部の入っていた部室棟の校舎が閉鎖され、そこからあぶれた文化部や研究会が校内の使える空き部屋の争奪戦を始めていた。
 中でも美術室の隣室となっていた空き部屋を巡って鉄道研究会と映像研究会の部員たちが対立し、美術部員たちも辟易していた。
 だがその部屋は美術部の物置で窓を通して室内が見えるものの以前から鍵が紛失しており、更に入り口には内側に大きな石像が置かれ誰も入れない開かずの間だった。

 だがある日、問題の部屋の中に突然1メートル四方のレイアウトが忽然と置かれているのが発見される。もちろん鍵は掛かったままの密室状態。
 一体誰がどうやってレイアウトを密室に入れたのか?そもそもその目的は?
 美術部員の主人公はいきがかり上、受験勉強中なのに好奇心の強いホームズ役の先輩をも巻き込んで謎の探索を始めるのだが・・・

 というのが大まかなストーリーです。
 ミステリとはいえ殺人はもとより盗難事件すら起きない一作ですが、それだけに深刻ぶらずにさらりと読めるストーリーでした。
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 さて、持ち込まれていたレイアウトですが設定上はHOゲージ(16番)
 そのレイアウト上には何故か「駅や緑の山々の中にオハ50が1両だけ鎮座している」という異様さ。実はこれが犯人特定のヒントの一つになっています(根拠のリアリティに多少無理はありますが)

 オハ50は言うまでもなく、1980年代以降旧客の淘汰を目的に登場した近代型近郊客車です。私の故郷ではスハ43系や10系を始めとする青い客車たちを廃車に追いやった悪しき存在として記憶される客車でした。
 とはいえ、乗る側からすればドアは自動だし室内は明るいし扇風機は付いているしで乗車環境は劇的に改善していたのですがw
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 さて、それはそれとして、
 本編に出てくるのは1メートル四方のHOレイアウトという設定ですが、以前も書いたようにこれは自己完結した運転ができるHOレイアウトとしては最小に近いサイズです。

 オハ50(というかそれを牽引する機関車)の走れるトラックプランは実質真円のエンドレス、側線なしという事になりますか。
 仮にNゲージとしても20M級3両くらいまでが上限といったところでしょう。

 かと言ってこれがパイクやセクションとすると逆に奥行きがあり過ぎてリアリティに欠けます。
 これらの点から推察するに作者は鉄道模型にそれほど詳しくないと思われます。
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 因みに本作の感想の中に「大きなジオラマを1人でこっそり運び込めるか?」と言うのがありましたが、運転会でこれに近い大きさのモジュールを持ち運びした経験から言えばこれくらいの大きさならシーナリィとレールの固定さえしっかりしていれば十分可能と思います。

 本作のトリックの主眼は実は密室への侵入方法よりも密室の構築方法にあるのでレイアウト自体は付け足しに近いのですが、鉄道模型のレイアウトをミステリの題材にした短編はまだ少ないと思うのでその意味では貴重な一編と思います。

光山鉄道管理局
 HPです。


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